「男主じゃないですか、今からエリアに行くなら僕も連れてってくださいよ♪」


ブレグ・エポナのカオスゲートにてエリアワードを打ち込んでいたら、いきなり欅が現れた。俺は画面の前でびっくりし、思わず椅子から落ちそうになってしまった。
さっきまでいなかったのに一体どこから出てきたんだろう。しかし、欅相手にそんなことを考えるのは無謀だとわかっていたので聞かなかった。


「欅がいるとレベリングした気がしないんだよな……」

「大丈夫ですよ、男主はそのままでも強いですから。で、何処に行くんですか?」

「何か…レベリングが出来そうな……」

「ならここがいいですよ」


欅はそう言いながら勝手にエリアを決め、俺をパーティに誘ってきた。
「何処にしたんだよ」と聞いてみても「行けばわかります♪」なんて言うので、多分俺のレベルじゃなくて自分のレベルに合わせたんだろうと思った。
毎回こんなエリアばっか行ってはボロボロになって帰ってくるので、いい加減嫌になる。


「今回はマジで嫌なんだけど…」

「まあまあ、そういうこと言わずにさっさと行きましょ♪」


全然悪意のなさそうな欅に、俺は大きなため息をついた。