「charaじゃん」


いつも同じ服を着ている同い年の男の子が傷だらけでそこにいた。
charaは周囲の人からは勿論、親からも見放されていた。傷も、親からの虐待や周囲の人間からいじめられて付けられた物だろう。
charaに会う度傷が増えているので心配して「何かあったら私を呼んで!」と耳にタコができる程言っているが、charaは何かを決意した様子で私の話なんか全然聞いちゃいない。
Charaが座る岩の隣の岩に座れば、Charaは私を横目で見てきた。


「あ、そうだ。チョコレートいる?」


ポケットからチョコレートを出してcharaに差し出した。
charaは私の顔とチョコレートを見比べると、そろりと手を差し出してきた。
いつも通り私の手から奪えばいいのに、と思いながらcharaにチョコレートを渡すと、charaはそれを受け取って食べ始めた。
私は、Charaと仲良くするためだけにいつも彼の好物のチョコレートを持ち歩いていた。
会う度に渡しているので、charaからしたら都合の良い人間かもしれないが、私はそれでも良かった。


「私の家においでよ。その汚い服とかどうにかしよ」


チョコレート食べ終わった後にでもさ。
charaを見れば、私の話なんか聞いてない様子でただひたすらチョコレートを食べていた。





インターフォンが鳴り、誰かとドアを開けてみればそこには云年ぶりに見たcharaの姿があった。
傷一つ負ってないcharaは新鮮で、心なしかcharaの表情が嬉しそうに見えた。
しかしcharaの身長は変わっていなく、昔は変わらなぐらいだったが、今では私の方が大きくなっていた。


「すっごい久し振りだね! 周りの奴らがcharaがいないって騒いでたけど、どこかに行ってたの?」

「……」


私が話しかけても、charaは私に視線を向けてくるだけ。
私はただチョコレートを貰いに来ただけかなと思って癖でポケットを触ったが、そこにチョコレートは無かった。


「あ、ちょっと中に入って待ってて! 今チョコレート持ってきて来るからさ」


charaを中に入れて玄関に座らせると、私は台所に向かった。
この会えてなかった分のチョコレートを全部あげるんだ!
しかしcharaに背を向けるのは愚かな行為だとは知らなかった。
背中に衝撃があって倒れ込むと、激痛が走って私は悲鳴をあげた。
服はじわじわと赤に染まっていて、何かがお腹の辺りを貫通している感じがした。この感触、初めてではない。
目の前にcharaの足が来て彼を見上げると、その表情は先程よりも笑顔で、何処か恐ろしく感じた。


「ッ…chara……?」

「僕の知ってる名前はこんなに大きくなかったけど」


背中に刺さってるナイフを踏まれ、より激痛が走る。
私は痛さでまともな考えが出来なくなり、ただ痛いと言う言葉が頭の中を駆け巡った。
何かがこみ上げてきて口から溢れる。それは真っ赤な血で、息がし辛く視界もだんだんぼやけてきた。


「君のことは結構気に入ってたけど。今の君には興味はないよ」


charaは私の背中からナイフを抜くと、私の頭に目掛けて振りかぶった。