俺は男だからまぐろのイケメンビームにやられる訳ないだろ、なんて笑いながらまぐろの前髪を上げた途端、視界が一気に眩しくなって倒れた。
それから間もなく意識を失い、微かに覚えているのはまぐろがカッコ良かったという事だけだった。


「……お、起きたんだね★」


目が覚めれば目の前にはまぐろがいて、自分がベッドに寝かされていることがわかり、辺りを見渡せば周りを遮るカーテンと薬品の匂いで保健室だと悟る。
寝起きだからか頭がぼーっとしていて、なぜこんな所で寝ているのかと考えていたら先程倒れたことを思い出した。
俺は起き上がってまぐろの顔を思い出そうとしたが、あの眩しい光しか思い出せない。
今のマグロの顔を見ても前髪で隠れているし、また見ようとすればあの眩しい光をくらって気絶しそうなので再び見る気はしなかった。


「大丈夫?」

「…うん。なんか、ごめんな…?」


無理やりまぐろの顔を見ようとして気絶するなんて、明らかにバカ丸出しの行動でなんだか恥ずかしくなった。
申し訳なさそうに言えば、まぐろは「全然★」と言う。


「待っててくれてありがとう。帰ろうぜ」


ベッドから降りて傍にあった俺とまぐろの鞄を持てば、保険室の先生に挨拶をして下駄箱に向かった。
歩いてる途中後頭部が鈍く痛んだが、倒れた時のに打ったんだろうと思ってあまり気にはしなかった。
陽は落ちかけていて下駄箱は人一人いなく、夕日で真っ赤な空間と化していて、少し幻想的に感じて一瞬で異空間に飛ばされたような不思議な気分だった。
下駄箱で靴を履き替えてまぐろに鞄を渡せば、お礼を言われた。
閉まってた鍵を開けて外に出れば勢いよく風が舞い込んで来て、先に出たまぐろを見れば前髪が舞い上がって顔が思いっきり見えた。
想像以上に整っている顔立ちで俺は思わず見惚れてしまい、俺の視線に気付いたまぐろはこちらを見て微かに微笑んだ。
俺は一気に顔が熱くなり、自分の心臓が耳元で鳴ってるぐらい五月蝿く感じた。