諏訪が腹空いた、と呟いたので放課後に飯を食いに行くことになった。
部活はテスト期間で無く、なら飯食いに行くより勉強しろと言う話なのだが、まだテスト期間は始まったばかりだし腹が空いてりゃ戦は出来ぬと適当にこじつけて諏訪を無理やり連れてきた。
諏訪はため息を付きながらも付いて来てくれるので、本当彼はいい奴だよ。
駅の地下に行きお店に入れば、日本の座敷を感じさせられるような内装が広がり、店員さんに案内させられて2人席の所に座った。


「ここマジ美味いんだぜ。ボリュームもあるのに安いんだ」


俺は既に食べる物が決まっているのでメニューには触らず、諏訪はメニューを開いて何を食おうか迷っていた。
決まると俺は呼び鈴で店員を呼び、注文をして飯が来るのを待った。


「何頼んだんだ?」

「サーモン漬け丼。諏訪は豚カツだよな、普通のより1回り大きいからちゃんと全部食えよ?」


そう言うと諏訪は半信半疑そうに「ああ」と言った。
俺はあのカツ丼が来た時の諏訪の反応が楽しみで、まだかまだかと待ちながら暇潰しにスマホを弄り始めた。

そして注文した品が来ると、片手では頑張ってもギリ持てなさそうな丼ぶりに入った豚カツが来た。
持ち上げると重く中身ががぎっしり入っているようで、諏訪は唾を飲み込んで食べ始めた。
俺も味噌汁の蓋を開けて一口啜り、小皿に盛り付けられている山葵を少し付けてサーモン漬け丼を食べ始めた。


「確かに……量多い」


カツ1切れとご飯を少し残しながら諏訪は言った。
俺はとっくに平らげ諏訪が食べ終わるのを待っていたが、どんどん食べるペースが落ちているため諏訪もう胃に入りそうにないと感じた。


「残すなよ〜? 胃に入らないなら食道に詰めろ」

「食道とか殺す気か」


諏訪と笑い合い「食えないならくれよ」と言い、自分のトレーを端に避けるとカツ丼のトレーが目の前に来た。
水を飲んで一息つくと噛みごたえのあるカツと戦いながらご飯一粒残らず平らげ、諏訪の元にトレーを戻した。


「意外に大食いなんだな」

「俺も腹ヤベーけどあれぐらいなら頑張って食う! ……少し休んでから行こうぜ…」


苦しくて動けない、そう言えば諏訪は軽く笑った。
それから部活やテスト範囲の話に花を咲かせ、お腹の調子も程良くなった所で帰ることにした。
諏訪とはまた何時か飯を一緒に食いに行く約束をし、改札口で別れた。