人肌が恋しい。
絆の深さ、仲間、家族をテーマにしてるアニメを見ていたら今の自分の現状と照らし合わせてしまい寂しくなってしまった。
戦闘アニメで勿論現実と全く違う環境だが、血が繋がっていなくても家族だとか、お前がいるから俺も存在し続けられるとか、臭いセリフでも何処か羨ましく感じてしまう。

この世に必要とされている人間は少ないようで多いと俺は思う。
どんな凡人でも自分を愛してくれる親がいて、恋人がいて、友人がいて、その人達がいるからその人は存在する意味がある。
しかし、誰からも愛されない人もいる。
そんな人こそ必要とされてない人間で、生きてようが死んでようがあまり興味を持たれない。
この世に必要とされてない人間なんていないんだよ、意味があるから生まれてきたんだよなんていう人がいるが、本当にそう思っているなら是非とも理由を教えて欲しい。
しかしそう言う人に限って何も考えていなく、言葉を濁らせたりこじ付けたりする。
それで丸め込まれて納得させられて、なんて酷い世の中なんだろう。


「そう思わないか、ユーリ?」

「ん、どうかしたのか? 男主」


ぼそっと独り言を呟いたはずがどうやら遊矢に聞こえてたらしく、俺は「何でもないよ」と微笑んだ。
遊矢は周りの皆に愛されている、だから必要とされている人間だ。
それと同時にユーリも誰かに愛されていた。最低でも俺がユーリを愛していて、ユーリは必要とされている人間だった。
でも彼はいなくなってしまった。何故、とわからないふりをして涙ばかり流していたが、本当はユーリがいなくなった理由も、セレナがいなくなった理由も全て理解していた。
だからと言って受け入れられるかどうかは別だった。


「あ」と遊矢が言えばひらりと一枚のカードが床に落ちようとした。
床につく前にキャッチし、なんのカードかと見ればそれはユーリのエースモンスターのスターヴヴェノムだった。


「ありがとう」


遊矢は俺の手からカードを取り、デッキに戻す。
俺はスターヴヴェノムを掴んだ手を見て、ユーリはここに存在していたと確認した。