「へえ、お前ダンガンロンパのオーディション受けるんだ」


俺はダンガンロンパのオーディションの紙を持った×△を見ながら言った。
すると×△は目を合わせてはこないもののとても嬉しそうに話し始めた。
どんな超高校級になりたいとか、クロになるときの殺害方法とか。
俺は正直何故ダンガンロンパが人気なのか分からなく、元々はゲームだったのをリアルの人間を使ってやり始めた時はこの世も末だと思った。


「で、僕は探偵っぽいトリックで人を殺すんだ……!」

「……」

「どうしたの……? 苗字くん…」


こんなに楽しそうに話す×△を見れて嬉しいが、×△がもしダンガンロンパのオーディションに受かってしまったらもう二度と会えなくなってしまうかもしれない。
もしかしたら×△が殺されてしまうかもしれない。
俺はそんなことを考え始めてとても不安になった。
×△とは高校に入ってから知り合ったが、とても気が合い一方的に親友と思っている。
止めたい、と思ったがこれは×△自身が決めることなので下手に口出しはしないと決めた。


「……×△と会えなくなるの、やだなあ…」


しかし寂しいな、と思い軽く笑いながら本心をこぼした。
すると×△は眉毛をハの字にしてさっきまで笑顔だった表情が暗くなってしまった。
俺はやってしまった、と思いダンガンロンパの話に戻そうとした。
すると×△は「そうだ」と思いついたように言った。


「苗字くんも応募しようよ!」

「えっ」

「締め切りまだだし、もしかしたら一緒に受かるかも知れない……!」


×△に綺麗な目で視線を合わせられながら言われ、いつもはまともに視線を合わせてくれないので俺はそんな×△を見て断れなかった。
応募用紙は×△に用意され、一緒に書いて一緒にポストに入れに行った。
×△は「一緒に受かろう」と言って、ポストの前で手を合わせてお祈りをした。
俺は「×△と一緒に受かりませんように」と祈った。





「俺の名前は苗字男主。超高校級のパティシエなんだ」

「僕は最原終一。一応超高校級の探偵ってことになってるけど……よろしくね」


俺と最原くんは握手をした。
握手した手の感触は何処か見覚えがあり、思い出せずにもやもやした。
最原くんを見れば、帽子を深く被っていてよく顔が見えなかったが綺麗な目をしていることがわかった。