突き指をして爪の付け根が青くなった。
何もしなくてもじんじんする指先はココ最近で一番の痛さで、私はその痛さにイライラし始めていた。
最近気分が晴れない日が続き、今日も変わらない日常を作業をするかのように生きていた。
想いを寄せているユーゴを一目見れば少しは晴れるかと思ったが、二、三日ぐらい彼の姿は見ていなく、気分は曇るばかり。
ユーゴは何をしているんだろう、と思いながら背中に背負っていた籠を降ろして細い路地で壁にもたれて座った。
青かったはずの指先は赤に変化していて、触ると少し痛かった。
曲げたら更に痛く、私は指を握って痛さを抑えようとした。
勿論そんなことをしても無意味だと分かっているが、今の私には痛みを抑える方法がそれしか思い浮かばなかった。


「見つけたぜ」


聞き覚えのある声がして私はそっちを見た。
するとDホイールから降りてヘルメットを外すユーゴがいて、私を見て近寄ってきた。


「お前のこと探してたぜ」


目の前でしゃがんだユーゴは私の手を握って言った。
握られた手は突き指をした方の手であり、ぎゅっと握られて痛さがより増した。
私は「痛い!」とユーゴの手を振り払えば、ユーゴは驚いた顔をした。


「怪我したのか!? どこだ!」


手をまた掴まれジロジロと見られる。
汚いからさんな見ないで欲しい、そう思いながら私は怪我した指を出した。


「ただの突き指だよ、気にしないで」

「ダメだ。良くわかんねえけどただの突き指でも悪化するってリンが言ってたんだ、早く帰るぞ!」


ユーゴは私の指を優しく撫でながら言い、私を立たせた。
私は籠を背負って路地から出て、ユーゴからヘルメットを貰い、それを被った。
後ろに乗りユーゴにしがみつくと、Dホイールは走り出した。