ご飯を食べて美味しく感じる事は全くって言うほどない。
どれも普通に感じ、こういう味なんだとしか認識されない。
一緒にご飯を食べていて「美味しい?」と聞かれた時は美味しいと言うが、心の中では空腹を満たす物としか思っていない。
高級レストランなどの高いメニューを扱う店を見る度なんでこんなに高いのだろうと思うし、しかも少ないので私は一生来ない店だと思ってた。
美味しいは感じなくとも不味いは感じるもので、しかし残したりはしなく、必ず綺麗に平らげた。


「口に合わないかい?」


綺麗なテーブルクロスに綺麗に飾り付けられたデザート、手にはナイフとフォークを持っていて少し俯きがちだった私。
顔を上げて「いいえ」と微笑み返せば再びデザートを食べ始めた。
今日はお見合い相手と食事に来ていた。
連れてこられたのは高級レストランで、私は出される料理を無心で食べていた。
見た目は綺麗でもどれもこれも私の口には合わなく、食べることが少し苦痛になってさえいて体調を崩した振りして帰りたいぐらいだった。
デザートだけマシかなと思い、早く平らげたい一心で良く噛まないまま飲み込む。
口に合わない食べ物ほど遊ぶことが多く、何回噛めば飲み込めるかとか、麺類は噛まないまま半分程度飲み、口内から体内に続く麺を喉から感じるのが癖になっていた。
冷たい食べ物もそのまま飲み込むとお腹に冷たい感じがして楽しい。
我ながら酷く行儀の悪い女だと思う。
そのうち食べ物に祟られてしまいそうだ。





「昨日は見合いだったらしいな」


授業が終わり体育館から出た途端壁にもたれてた万丈目が話しかけてきた。
私は万丈目を見ては無視をして体育館に向かう。


「おいおい待て待て!」

「昨日の料理より準の顔の方がゲロゲロだわ」

「貴様……!」


体操着姿でカッコつかれても今の私には鬱陶しさしかなく、イライラで体温が上昇していた。


「……今日どうせ暇だろう。レッド寮の奴らが俺の部屋でパーティーをする…らしい……天上院くん達も来るらしい……貴様もどうだ」

「……」


私は返事をするのも面倒臭く感じ、そのまま無視をして更衣室に向かった。
着替えている途中でイライラが収まってたことに気付き、準の嘘を見透かした上で今日は何を食べさせてくれるのだろうと思い、今日最後の授業に挑んだ。