私は紫雲院素良と一緒に遊矢くんに接近し、エクシーズの残党を探しながらスタンダード次元で過ごしていた。
ユーリ様と離れるのは少し寂しいが、任務が終わればご褒美をくれるとユーリ様と約束したので、私は頑張っている。
そんな中、私は遊矢くんのエンタメデュエルにもの凄く興味を持っていた。
デュエルを戦う道具としてしか見てなかった私には、デュエルを使って人を楽しませるというのが新鮮だった。
エンタメデュエルをやっている時の遊矢くんはとてもキラキラして魅力的で、私も是非やってみたいと思った。
でも私には任務があり、ユーリ様との約束がある。
ユーリ様との約束が引っかかって遊矢くんと親しくなることに躊躇っていたが、これも任務だと心に言い聞かせながら私は遊矢くんに近づいた。


「名前は素良と同じ融合を使うけど同じところから来たのか?」


遊勝塾で遊矢くんにエンタメデュエルを教えてもらい、休憩をしている中、いきなり話題を振られた。


「ううん、単なる偶然だよ」


私は自分のデッキを見ながら言った。
私のデッキには融合のカードが三枚入っていて、融合を見るたびユーリ様が頭によぎる。
ユーリ様を一途に思う自分の心が、遊矢くんと一緒に居るたびに薄れていく気がして、今では遊矢くんと親しくなることが苦痛になっていた。
今こうして遊矢くんと話している間も必死でユーリ様のことを考えて、私はユーリ様しかいないんだと自己暗示をしている。


「でもすごいよな。融合召喚だと強いからいつか負けそうだよ」

「いつか遊矢くんを負かしたいよ」


私は笑いながら言った。
すると遊矢くんは微笑み返してくれた。
そんな遊矢くんとバチりと視線が合い、頭を鈍器で殴られたような鈍い感触を感じる。さっきまで暑くなかったのに変な汗まで吹き出てきた。
違う、私は、私にはユーリ様しか……!
そう思っていても、遊矢くんと目が会った時に確信してしまった。私は途端に泣きたくなった。