久々に任務がない日なので部屋でゆっくりしようかと思ったら、ユーリがノックもせずに部屋に入ってきた。
「やあ」と俺に挨拶をすれば、棚を物色してユーリ専用のカップとティーポットを取り出しで自分で紅茶を作っている。


「何しに来たんだよ。俺休みたいんだけど」

「休めばいいじゃん、ここは君の部屋なんだからね」


「お前がいると…」と言いかけたが、また屁理屈が返ってくると思ったのでやめた。
ユーリが飲んでいる紅茶は俺が好きな種類でもあり、匂いが漂って来て眠気が余計に誘われる。
1杯飲みたいと思い、ベッドから起き上がってユーリの目の前の椅子に座る。


「…なにか用?」

「俺にも1杯くれないかなーとか思って」

「自分で用意しなよ」


そう言われ、俺は棚から自分のティーカップを出す。
ティーポットの中身がある事を確認し、ティーカップに紅茶を淹れる。


「お茶会なら自分の部屋でやればいいだろ」


砂糖を一個入れ、スプーンで混ぜながら俺は言った。


「僕の部屋にティーポットもティーカップも無いから君の部屋に来たんだよ」


ユーリは頬杖をついて、視線をよそに向けながら言った。
元々はユーリの部屋に棚やティーカップ類があったのだが、ある日ユーリに「君の部屋家具少ないしこれ置いても十分なスペースあるよね」とかなんとか言われて勝手に置かれた。


「お前が俺の部屋に棚ごと移したんだろ……戻せよ……」

「良いじゃん。これで君の部屋に来る口実が出来るしね」


ユーリは笑みを浮かべて俺の方に視線を向けながら言い、紅茶を一口飲んだ。
俺はそれを聞いて顔が熱いのをごまかすように紅茶を一口飲んだが、少し苦かった。