『幸ちゃんどうしよう!』
「なんだよそんな慌てて」
『ブラしてくるの忘れた!』
「………なっ!」
みんながこっち見る。黄瀬くん、森山くん、小堀くん、早川くん、中村くん。それを見て今日の朝練は自主練でよかったと思った。だって普通に朝練ただったらバスケ部全員いるし。
「名字センパイそれホントっスか?」
『うん』
「名前ちゃんそれすごくいい」
「森山てめぇ!」
「え、だってノーブラだぜ?笠松だって実は喜んでるだろ?」
『えっ、幸ちゃん…』
「んなわけねぇだろ!」
幸ちゃんは森山くんに肩パンをした。森山くんは肩を押さえながら痛ってぇ!と騒いでいる。
『幸ちゃん胸がスースーするよー』
幸ちゃんの腕に抱きついたら真っ赤な顔で放せと怒られた。
「笠松いいなぁ」
「森山シバくぞ!」
「もうシバいてるって!」
『幸ちゃん暴力はダメだよ。いくら森山くんがウザくてもそれはさすがに可哀想だよ』
「え、ちょ、えっ?泣いていい?」
「勝手に泣いてろ。名前、Tシャツ貸してやるからブラウスの下に着てろ」
『えっ』
幸ちゃんにTシャツを手渡された。てゆーかこれ、幸ちゃんの匂い。これ着たら幸ちゃんに包まれてる気分になれそう。
『幸ちゃんありがとう!着替えてくるね!』
「おう。……おい森山、どこ行くんだ?」
「え、いや、部室に忘れ物…」
「殺されてぇのか、そうなのか?」
「じょ、冗談だよ!冗談!いくら俺でも名前ちゃんの着替え覗くなんてことしねぇよ」
「今絶対覗きに行こうとしてたじゃないっスか」
「何言ってるんだ黄瀬!してないぞ俺は!」
ちょっと待って、こっちまで丸聞こえだからね?森山くんそんなひどい人だとは思わなかったよ。
『幸ちゃん着替えたよー。やっぱり幸ちゃんのだから大きいね。太ももくらいまであったよ』
「え、てことは名前ちゃんの下着に笠松のTシャツが当たってるってこと?」
「っ!」
『うん。スカートの中に入れてるし』
えっ。
幸ちゃんと森山くんの視線が私のスカートに注がれる。
「森山てめぇ見てんじゃねぇ!」
「笠松だって見てただろ!」
「っ!うるせぇ!俺はいいんだよ!」
「は!?笠松だけずるいだろ!」
「ずるくねぇよ俺は彼氏だからいいんだよ!」
今キュンてきた。幸ちゃんが彼氏って言ってくれた。ヤバいすごい嬉しい。
『幸ちゃん大好き!!』
「はぁ!?お、おい!抱きつくな!」
『ヤダ!抱きつく!だって幸ちゃん大好きだもん!!』
「っ、お前なぁ…」
『えへへ、幸ちゃんのTシャツもいいけど、やっぱり幸ちゃんがいい!』
私は更に強く幸ちゃんに抱きついた。