「名前センパイその待ち受け…!」
『あぁ、これ?可愛いでしょ』
黄瀬くんに自慢げに待ち受けを見せると、それを横で聞いていた笠松くんも私の携帯を覗き込んだ。
「なっ!」
『ちょっ!』
笠松くんは私の待ち受けを見た途端ボッと顔を赤くし私から携帯を取り上げた。
「こんなもんいつ撮ったんだよ!」
『この間の練習試合のときかな。バスの中で笠松くんが寝てて可愛かったからつい』
「ついじゃねぇよ!シバくぞ!」
シバくって、ひどいな。私一応彼女なのに。
てゆーか彼氏の寝顔待ち受けにするくらいいいじゃん。彼女の特権じゃん。
「とにかく今すぐ消せ」
『えーっ、やだよ』
「っ!…俺が消す!」
『ちょっ、人のフォルダー勝手に見ないでよプライバシーの侵害だよ!』
「人の寝顔を勝手に待ち受けにすることはプライバシーの侵害じゃねぇのかよ!」
『っ!』
私は何も言えなくなった。
「だいたいお前はいつもいつも…、っ!」
あ、やばい。絶対見つかった。私のフォルダーのアレ。
笠松くんは私の携帯を見て明らかに怒った顔をしている。
「おい、これはどーゆーことだ?」
『え、いや、なんてゆーか、その…』
笠松くんは私の携帯をこちらに向けて私を睨んだ。
「なんだよ笠松フォルダーって…!」
『いやぁ!ごめんなさいごめんなさい!笠松とか呼び捨てにしてごめんなさいぃぃ!』
「問題はそこじゃねぇだろ!!」
『ひぃ!』
やっぱりそうですよね、呼び捨てにしてるところじゃないですよね。笠松くんのフォルダーがあることに怒ってるんですよね。でも笠松くんの写真いっぱい撮ってるから笠松フォルダー必要だったんだもん!
「必要だったんだもんじゃねぇよ!」
『えっ!?私の心の声が!』
「全部口に出してんだろ!」
『なんと!』
「つーか俺の写真って全部盗撮じゃねぇか!」
『だって笠松くん写真撮らせてくれないじゃん!』
いつもカメラ向けたらそっぽ向くし、黄瀬くんと森山くんばっかり写り込んでくるし!あ、あとたまに早川くんも!
「と、とにかく!盗撮はやめろ。あとその写真全部消せ!」
『待って!それは無理!絶対ヤダ!だってバスケしてるカッコいい笠松くんの写真もあるんだよ!?』
「っ!」
笠松くんは顔を赤くして黙り込んでしまった。
あれ?私なんか変なこと言った?
『笠松くん…?』
「……バスケしてる写真はいいから、それ以外は消せ」
『…えっ?バスケしてるのはいいの?』
「だからそう言ってんだろ!」
『あっ、ちょ!笠松くん!?』
笠松くんはそう叫んで行ってしまった。
「笠松のやつツンデレか?」
「ツンデレっスね!」
『ツンデレ…?……っ!笠松くんがツンデレ!?なにそれおいしい!!』
「なんかちょっと笠松に同情する…」
「同感っス…」
『ん?なんか言った?』
「「なにも」」