『サンタさんに会いたいなぁ』
「は?」
『笠松くんは会いたいと思わない?サンタさん』
「……」
『ん?どーしたの?』
笠松くんが何か変なものでも見たような顔で私を見るから不思議に思って訪ねると、なんでもねぇ、と返された。なんでもなかったらあんな顔しないだろう。
『言いたいことがあるなら言って?』
「……お前、信じてんのか?」
『へ?何を?』
「サンタだよ」
『……ん?』
信じてるってなに?どういうこと?サンタさんは本当にいるじゃん。
『私のうち毎年サンタさん来るけど』
「いや、それ親だろ」
『………え』
うそっ。
嘘だ。そんなの…。だってお母さんとかいつも、今年もサンタさん来たのね、って言うよ…?それなのに…。
『サンタさんって、いないの?』
「いねぇよ」
『…っ』
じゃあ今まで私にプレゼントをくれてたのはお父さんとお母さんってこと?この歳になるまで毎年ずっとサンタさんのふりしてたってこと?
『………そっか』
「っ……そんな落ち込」
『じゃあ今日から笠松くんが私のサンタさんね!』
「は?」
『だって親にこれからもサンタさんやってもらうのは申し訳ないでしょ?私もう高校生だし。だから今日から笠松くんが私のサンタさん』
「……俺なにすりゃいんだよ」
『何もしなくていい』
笠松くんはキョトンとした顔をし、私を見つめた。
『笠松くんは、毎年12月25日に私のそばにいてくれればいい』
「っ、なんだよそれ」
『だって笠松くんがそばにいてくれることが一番のプレゼントだから』
「っ…!お前なぁ…」
『ダメ?』
「そーゆーわけじゃねぇけど。俺はサンタじゃなくても毎年お前のそばにいる」
えっ…。なんかそれプロポーズみたい。笠松くんそれ気付いてるのかな。
「なんだよその顔」
『いや、プロポーズみたいだなぁって思って』
「はぁっ!?ちげぇよ!」
笠松くんは顔を真っ赤にしている。
『ちゃんと分かってるよ。笠松くん焦りすぎ』
「うるせぇ。…………あと何年かしたらまた同じこと言うから、覚悟しとけよ?」
今度は私が焦る番だった。
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あと5年くらいしたら笠松さんが夢主に「俺は毎年お前のそばにいる。だからお前も毎年俺のそばにいろ」とか言うんですよ!きっと!