『しゅーん』
「ん?」
『暇ぁ、構って』
「これ終わってからな」
俊はこちらに向いていた視線をテレビに戻した。テレビの画面にはバスケの試合が映し出されている。誠凛の次の練習試合の相手だ。
『俊くーん』
「ん?」
今度は私の方を向かずその視線はテレビの方を向いたままだ。
『まだー?』
「…まだって、1分も経ってないだろ」
『だって暇なんだもん。俊の部屋ネタ帳しかないし』
「じゃあネタ帳を」
『嫌だし。俊のダジャレつまんない』
あ、ちょっと落ち込んでるかも。でもホントにつまんないからしょうがないと思う。
「名前」
『ん?あっ…』
いつの間にかテレビ画面が真っ暗になっていた。俊が電源を落としたのだ。
『もういいの?』
「名前がうるさいからな」
なにそれ、私のせいかい。
そう思っていたら俊が続けて言った。
「それに、そろそろ名前と話したくなったしな」
『っ……、最初からそう言え、ばか…』
「そう怒るなって」
俊はそう言いながら私の頭に手を置いた。私はこれが好きだからこれをされると何も言えなくなる。俊はそれを分かってやっているからずるい。俊には私のことはなんでもお見通しなのだ。嬉しいような気もするけどそれは私に勝ち目がないということ示しているからちょっと複雑。
「今度の練習試合見に来るんだろ?」
『うん、リコちゃんに会いたいし』
「…カントクか」
『あれー?もしかして俊のかっこいいとこ見たいから、とか言ってほしかった?』
「まぁ」
『ふふふ、もちろん一番の理由はそれだよ?リコちゃんは二番目』
そう言うと俊は嬉しそうに笑った。
リコちゃんがいくら可愛くてもやっぱり俊が一番だ。もし俊が試合に出ないとしたら私は絶対に見に行かない。
『ねぇ、次の試合頑張ったらご褒美あげる』
「え、なに?」
『うーん、何がいいかな?ちゅーとか?…んー、それじゃご褒美にならないか』
「えっ、それがご褒美じゃなかったら逆に何がご褒美なんだ?」
『えっ?ちゅーでいいの?』
「もちろん」
なんだちゅーでいいのか。
目の前の俊はとても嬉しそうだ。この顔にしたのは私のちゅーのが原因だと思うと私も嬉しくなった。
「俺次の試合頑張る。名前今の約束忘れるなよ?」
『うん』
忘れないよ。だって俊にちゅーなんてこんな機会がないとできないし。
試合、頑張ってほしいな。
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グダグダですいません。でもssはみんなこんな感じになると思います(笑)