最近ふと不安になることがある。私は笠松くんに愛されているのかと。

告白したのは私からで、そのとき笠松くんは物凄く困った顔をしていた。だけど結果的には付き合ってくれて、だから私は笠松くんも私を好きだったのだろうと思った。だけど、笠松くんは物凄く素っ気なくて、デートも1回しかしていない。付き合って1ヶ月でそれならまだいいが、私たち付き合っ2ヶ月半だ。さすがにそれはおかしい。



『という訳なんだよ森山くん。どう思う?』

「いや、どう思うと言われても…」

『笠松くん私のこと嫌いなのかなぁ…、無理して付き合ってんのかなぁ…』

「い、いや!それはない!」

『えっ?なんで断言できるの?もしかして、笠松くんから何か聞いてる?』

「いや、何も聞いてない」



森山くんは絶対に何か隠してる。だって物凄く怪しいもん。



『森山くん、私たち友達だよね?』



森山くんとは1年からクラスが一緒で、ちょこちょこ話していた。というか森山くんに好きだと何回も言われた。タイプじゃないから全部断ったけど…。



『友達に隠し事はダメだよね?』

「いや、いくら名前ちゃんでもこればっかりは…」

『なんで?私のこと応援してくれてるんだよね?』

「いや、そうなんだけど。でも笠松に言うなって言われて……、あっ!」

『へぇ、だから言えないんだぁ』



森山くんはしまったという顔をしている。


それより笠松くんは一体何を隠しているのか。



「えっと名前ちゃん…」

「森山、っ!名字!?」

『あっ、笠松くん』

「笠松!丁度いいところに来た!あとは二人で話せ!」

「は?」

「お前の秘密だよ!」

「なっ!」



森山くんはそそくさと行ってしまった。そして残ったのは私と、真っ赤な顔をした笠松くん。



『えっと、笠松くんの秘密って…』

「っ!」

『あ、えっと、言いたくなかったらいいからね?……でも、これだけは聞かせて。笠松くん、私のことどう思ってる?なんていうか、その……、笠松くんあんまり目も合わせてくれないから、私と無理やり付き合ってるんじゃ…』
「違ぇ…」

『えっ…?』

「俺はお前のこと、ちゃんと好きだ」

『っ!』



どうしよう……、嬉しい。もうこの言葉を聞けただけで十分な気がする。でも、そういうことはちゃんと目を見て言ってほしい。



「その…、さっき森山が言ってた俺の秘密なんだけど」

『う、うん』



もしかして、変なん趣味とか性癖があるとか?まさか、女装!?

え、でも笠松くんだしな…。


私は次の笠松くんの言葉を待った。



「お、俺、実は…、女子が苦手なんだ」

『……………はい?』



え?え?なんだって?女子が苦手?バスケ部のキャプテンの笠松くんが?

えっ。何それ。それで目合わせてくれなかったりあんまり話してくれなかったりしたわけ?



『笠松くん……』

「幻滅、したよな」

『えっ、……そんなんで幻滅しないよ!てかむしろ嬉しい!だってそれなのに私と付き合ってくれたんでしょ?なんでもっと早く言ってくれなかったのさ!』

「は?えっ?」



幻滅なんてするはずない。だって私のことが嫌いとかだったわけではなく、女子が苦手だから目も合わせられなかったわけでしょ?



『笠松くん、私それ聞いてもっと笠松くんのこと好きになった!』

「なっ!」

『あっ、やっと目見てくれた!』

「っ!」

『女子が苦手ってこと、恥ずかしがることじゃないよ?でも、やっぱり目くらい合わせてほしいかな。だからさ、ゆっくり慣れていこう?私いくらでも待つからさ!』

「っ……、名字、俺…、お前を好きになってよかった」

『えっ…』



な、ななな!何言ってんのいきなり!てか、えっ?あれ?好きになって?それってどういう…



「お、俺さ…、お前に告白される前から、お前のことが、好きだったんだ…」

『えっ!』

「だから、お前に告白されたとき、すげぇ嬉しかった」

『っ!』



ちょ、今は目見ないでほしい。恥ずかしい。恥ずかしすぎる。

まさか笠松くんも私のこと好きだったなんて…。でもなんで?話したこととかなかったし、3年で初めて同じクラスになれたのに。


それを笠松くんに聞くと、笠松くんはちょっと恥ずかしそうに答えてくれた。

どうやら1年のときに森山くんから私の話を聞いて、私に興味を持ったらしい。で、廊下ですれ違ったときとかに見ていたらしい。それで気付いたら好きになっていたんだとか…。



『えっと、なんかすごく、嬉しいです』

「っ…!なんだよそれ…」

『えっ!だってホントに嬉しかったから』



あ、また目合った。

てゆーか、えっ?何でそらさないの?何で見つめてんの?


私は笠松くんに穴があきそうなほど見られている。


ちょっ、え!?



『かさ、笠松くん!?』

「っ!わ、わりぃ。でも、せめて目は見れるようにしたいし」

『だ、だからってそんなに見つめられたら恥ずかしいよ!』

「っ!俺だって恥ずかしいんだよ…!」



いや、それは分かるよ。だって笠松くん顔真っ赤だもん。



『えと、笠松くん、話すときに目見てくれればいいから、だから今は…』

「…分かっ、た」

『っ……や、やっぱり目見て!逸らされるのなんかやだ!』

「は!?どっちだよ!」



笠松くんのそんな一言に私は笑ってしまった。そしたら笑ってくれて…



『笠松くん、好き』

「なっ!」



笠松くんの真っ赤な顔を見て恥ずかしくなった私は、彼を一人残して走って逃げた。





一歩ずつ

(名字)
(か、笠松くん!逃げたりしてごめんなさいぃぃ!!)
(あ、いや…)
(え、怒ってない?)
(そんなんで怒んねぇよ)


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