昨日、一昨日と、2日続けてバスケの練習試合があった。だから今日は珍しくバスケが部が休みになった。
私はバスケ部のマネージャーをしている。そしてバスケ部のエースである緑間くんの彼女でもある。だから今日は緑間くんと一緒に帰る約束をしていた。だけど急に委員会の先生に呼び出されて、30分くらい仕事をさせられてしまった。
もちろん緑間くんを待たせているわけで、私は仕事が終わった瞬間緑間くんが待っている教室にダッシュで向かった。
緑間くんのことだから勉強でもしてるんだろうなぁ、そう思いながら教室を覗いた私の目に飛び込んできたのは、机に伏せて寝ている緑間くんの姿だった。
『緑間くんが……寝てる…』
緑間くんでもこういうことするんだなぁ。…あ、昨日の試合で疲れちゃったのかな、すごく頑張ってたし。
……てか、ホントにきれいな顔してるなぁ。人形みたい。
無防備に寝ている緑間くんなんてもう二度と見られないかもしれない。いつもは少し近寄りがたいオーラをまとっている緑間くんだけど、今は少しだけ可愛く見えた。
『緑間くん…』
頭とか撫でたら怒られるかな?でも、気づかれなければ…
私は気づかれないようそっと手を伸ばして、緑間くんの髪に触れた。
『っ…』
サラサラ…
男の子のくせに、いいなぁ。
あ、そうだ、眼鏡。緑間くんが眼鏡取ったとこ見たこと無いかも。こんだけ熟睡してるんだし、眼鏡外したくらいじゃ起きないよね?
私は緑間くんの前に座って顔を近付けた。そしてゆっくり眼鏡に手を伸ばそうとした、でも、有ろう事か、緑間くんの目がパチッと開いたのだ。
『っ!』
ドンッ
私はいきなりのことに驚き、そのまま後ろにのけ反りしりもちをついてしまった。
『み、緑間くん…』
「お前は何をして…、っ!」
『えっ?』
緑間くんは目を見開いたかと思うとそのまま後ろを向いてしまった。
まるで何か見ちゃいけないものを見て驚いたような…
ん?見ちゃいけないもの?
私は自分の体勢を確認した。そして気付いてしまった。パンツが丸見えだということに…
『きゃっ!』
最悪だ。緑間くんにパンツを見られてしまった。しかも水玉模様のやつ…。くそー、なんでもっとまともなやつ履いてこなかったんだ!私のバカ!
『あの、
緑間くん、見たよね…?』
「っ!俺はなにも見ていないのだよ!」
いやいや、そんな真っ赤な顔で言われても…。
『絶対見たでしょ?』
「だからお前の下着など!…っ!」
『今下着って言ったじゃん。絶対見たじゃん』
「っ………べ、別に俺は、見たくて見た訳じゃないのだよ。たまたま目に入ったのだよ」
『認めた。てゆーか元はといえば緑間くんがいけないんだからね!いきなり目開けるから』
「なぜそうなるのだよ!そもそもお前が俺の髪を黙って触るのがいけないのだよ!」
『それはそうかもしれないけ、ど……って、あれ?』
おかしい、明らかにおかしい。何で緑間くんは私が髪を触ったことを知ってるんだ。そのときは確かに寝てたはず。…っ!まさか…
『もしかして緑間くん最初から起きてた!?』
「ただ伏せていただけなのだよ」
『ひどい緑間くん!寝たフリしてたなんて!』
「お前に言われたくないのだよ」
っ、今ちょっとイラッとした。
よし、仕返ししよう。
『彼女で遊ぶなんてサイテー!もう緑間くんなんて大嫌い!……っ、ふぇ…』
私は泣き真似をしてみた。でもやってから思った。こんな手が緑間くんに通じる訳ないと。だから私はすぐに顔を上げようとした。だがしかし、緑間くんは驚くべき行動に出たのだ。
「悪かったのだよ」
そう言って自分のハンカチを差し出してきたのだ。
『え、……あ、ありがとう』
えっ、こんなはずじゃなかったのに。でも今更嘘泣きでしたなんて言ったらなにされるか分かんないし、ここは黙っといた方がいいの、かな?
『えっと、緑間くん。私もごめんね?』
「もういいのだよ」
『っ……』
「それより、この後時間はあるか?」
『えっ、うん、暇だけど』
「ならばシュート練習に付き合え」
あれ?さっきまで優しかったのにもう上から目線?しかも練習って…、デートかと思ったのに。
でもまぁ…
『いいよ。私バスケしてるときの緑間くんが一番好きだから』
「なっ!」
『えへへっ。早く行こっ、体育館』
「…あぁ」
緑間くんの顔が赤いのには触れないでおこう。だって言ったら絶対顔隠しちゃうもん。どうせなら、緑間くんのレアな顔見てたいしね。
私はそう思いながら緑間くんの後を追いかけた。
それはずるいです
(緑間くん、こう?)
(だから違うと言っているだろう)
(えぇー、でも高尾くんはこんな感じだったし)
(高尾は見るな)
(それってやきもち?)
(なっ!違うのだよ!)
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緑間?