私は昨日、恐ろしいことを聞いてしまった。それは、日向くんが二重人格ということだ。実は私は日向くんと付き合ってたりする。でも、日向くんと同じクラスになったことはない。

私が日向くんと付き合い始めたきっかけは幼なじみのリコにある。私は日向くんと同じクラスのリコの元へよく行っていて、そのとき日向くんと知り合った。

日向くんは真面目で優しくて、おまけに運動神経もいい。私が日向くんを好きになるのにそう時間はかからなかった。

そして私は日向くんに告白しようと決めた。でも驚いたことに、私が告白する前に日向くんから告白されてしまった。もちろん私が断るはずもなく、今に至ったというわけだ。


って、今はそんなこと話してる場合じゃない。本題は日向くんが二重人格かどうかということだ。



『ねえリコ、日向くんってホントに二重人格なの?』

「そうよ。日向くんは二重人格クラッチシューターだから」



リコは私の方を一切見ずにそう言った。別に私を無視してるとかそんなんじゃない。今私は体育館にいて、バスケ部の練習を見学しているのだ。それでリコはバスケ部のみんなを見ているから私を見れないというわけだ。



「そもそもおかしいと思わない?」

『えっ、何が?』

「バスケ部の練習見にくるの、週3回までって言われてるんでしょ?」

『え、そうだけど、それとこれとどういう関係があるの?てか、日向くんがそう言うのは、私がいるとみんなの気が散るからじゃないの?』

「違うわよ。日向くんはクラッチタイムを見せたくないのよ」



ん?クラッチタイム?なにそれおいしいの?



「日向くんはクラッチタイムに入ると性格が変わるのよ。溜まってるもの全部吐き出すの。そのときはすごく口が悪くなるのよ」

『えっ…』



そんな、ホントに二重人格なの?もう半年も付き合ってるのに、なんで私は何も知らなかったの?日向くんが、隠してたから?でもなんで…



「10分休憩!」



リコの声で我に返った私は勢いよく顔を上げた。そしたら目の前に日向くんがいて…



『っ…!』

「なんか元気ねぇな、大丈夫か?」

『だ、大丈夫だよ?』



私はそう言ったけど、日向くんの顔はだんだん険しくなっていった。私は日向くんの顔を見ていられなくて、リコに助けを求めた。



「あ、ごめん日向くん。二重人格ってこと隠してたみたいだけど言っちゃった」

「はあっ!?」

「隠してたっていつかはバレるでしょ?なに、なんか文句あるの?」

「いや、ありません」



二人の話を聞いている限り、日向くんが二重人格というのは本当らしい。



『あの、日向くん』

「わりぃ名字、二重人格だって知られたら嫌われると思って…」

『……私は、隠し事される方がやだ。日向くんの全部を、さらけ出してほしかった。今更二重人格だなんて言われても、信じられないよ』



だって日向くんは、いつもすごく優しくて、私の理想の彼氏で…

でも日向くんは、私に嫌われるのが嫌で隠してたんだよね。それって自惚れてもいいのかな、ものすごく大事にされてるって。



『日向くん、ちゃんと言ってくれてありがとう。たとえ日向くんが二重人格でも、私は日向くんを嫌いになったりしないよ。だって二重人格ってことは、いつもの日向くんも嘘偽りのない日向くんってことでしょ?』

「っ!名字…」

『きゃっ…』



日向くんの手が伸びてきたと思ったら勢いよく引っ張られて、それまま日向くんの胸板に押し付けられた。嬉しいけど、周りの視線がいたい。



『ひゅ、日向くん、みんな見てるよ』

「気にすんな」



いやいやいや、無理だから!小金井くんがガン見してるから!他の部員もチラチラこっち見てるし…。



『えっと、とにかく、これからは隠し事とかしないでね?』

「あぁ、分かった」



日向くんの言葉に私が微笑むと、日向くんも同じように笑った。でもその後すぐに日向くんの顔が険しくなって、どうしたんだろう?と思っていたら、日向くんが恐ろしいことを叫んだ。



「今こっち見た奴、死ね!」

『っ…!』



え、えっ…



「あぁ、わりぃ、驚いたよな」

『え、いや、あの…。い、今の日向くん………かっこよかった!!』

「「「えっ…!?」」」



私以外の全員の声が重なった。



『えっ、あの…』

「今の日向をかっこいいだなんて…」

『えっ、かっこよくなかった?』

「普通怖いと思うんだけど…」



小金井くんが控えめにそう言った。


うーん、私はかっこいいと思うんだけどなぁ。



『日向くん、私そっちの日向くんの方が好きかも』

「マジで?」

『うん、マジで』



私の言葉に、なんだよ俺二重人格とか隠す必要なかったんじゃねーか、と頭を抱える日向くん。それが面白くてクスリと笑うと、何笑ってんだよ、と頭を小突かれた。前の日向くんではありえない新鮮な行動で、私は嬉しくて日向くんに抱きついた。

リコに、イチャつくなら出てけ!と言われたけど今は無視しようと思いました。





すべてさらけ出して

(日向くーん!頑張ってー!)
(おう!)
(ちょっ、あんたらマジでウザい)
(ひどいよリコー!)


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