夜もとろける夢を見せて

未だにこの感情が不思議でならない。
俺の横で眠る少女の寝顔を見ながらしみじみ思う。
こいつの可愛いさに我慢できず、事に及んだのが数時間前。
飛ばしすぎてしまった、というのもありお互い疲れ果ててすぐに眠ってしまった。
・・・が、俺は眠りが浅い方らしく、ついさっき目覚めてしまったのだ。
部屋にある時計を見ると、3時を回っている。
今までは深夜に目覚めても横に寝ている女の顔をこんな気持ちで眺めることはなかった。
・・・いや、そもそも横に女を寝せたことなんてないけど。
眠る彼女のさらさらな髪に手を通して手櫛のようにしてみると、なんともいえない、落ち着かない気分になってくる。
しかし、それは嫌なものではなくむしろ心地よくすら感じる。
この気持ちはなんというのだろう。
・・・いや、知っている。彼女に対する気持ちを自覚し、なんと言って気持ちを伝えるか3日ほど考え、その間彼女の顔をまともに見れなかったことを、何故か気付いていた連合のメンツに協力してもらいながらも、後ろから抱き締めながら気持ちを伝えたことを、彼女が花の咲いたような笑顔で私も大好きだよ、と言ってくれ、柄にもなく喜んだことを
・・・ヒーローなんて大嫌いだ。
誰彼構わず命を賭ける意味が理解できない。
・・・でも、こいつになら。
こいつになら、命を賭けてもいいと思ってしまう。
「とむら、くん・・・」
可愛らしい寝言を言った彼女に身を寄せてから、目を瞑った。
次は、名前と共に、目覚めよう。

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