地球の中でふたりきり
耳に触れる言葉すら、僕らには。
ああ、どうして思春期の男ってものはそういうとこにばかり眼を向けるのか。
全部が全部ではないにしろ、自分に関係のある、しかも恋人の話だなんて。
聴いていて気分の良いものでは決してない。所か、持っていたスチール缶を握り潰してしまった。
「香穂、怖い」
「だってだって!」
「何が『だって』ならスチール缶潰したくなるのさ」
「5組の男子がね、菜美の胸おっきいよなーって鼻の下伸ばして話してたの!」
「あー、私も聴いた事あるよ。香穂くらいが丁度良いって話。足コキして欲しいとかも言われてもん、あんた」
「マジですか」
「マジですとも」
こんな話、冗談でしかしたくない。いや、どちらかと言えば悪ふざけの類。
天羽が嘘を吐くのを下手な事を日野は良く知っている。
それに面白い冗談なら、もっと明るく言い合える筈だ。
なんて下らない下ネタの応酬。
「菜美はおっきいだけじゃなくて感度も良いんだからねー?」
「香穂はこう見えてすっごいサディストなんだよねー!」
「えー、私菜美には全然やさしいよ。痛いことしないし」
「うわ、やだな、嘘吐き」
「お強請りしないと達かせてあげないだけだよ?」
「だから、それが…!」
彼女しか、知らないコトは沢山ある。
周りがどんな評価を付けて、どんな言葉を並べても。到達は、しない。
日野には天羽が、天羽には日野が心の拠り所だから。
他人の評価すら、彼女達には互いを更に知る術に代わる。
だって、君がだいすきなんだ。
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下ネタですみません!ばかっぷるですみません…!
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