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▼ おどおど



「ねえ、ミオちゃんって赤葦くんと付き合ってるの?」

「え、付き合って、ないですよ……?」

ある放課後のこと。
誰もいなくなった教室に忘れ物を取りに行ったら、そんなやり取りをみてしまった。

ミオが数人の女子に囲まれていて、女の子のねたみに巻き込まれてたようだった。
しかもその原因は、俺。

「ねえ、ミオに何してるの?」

俺はミオをかばうように女子たちの前に立ちはだかる。

「え、赤葦くん? え、私たち、何もないよ? 、ね、木兎さん?」

俺が現れるなり態度を変える女子たちに、俺はひとつ息を吐いた。

「ミオは木兎さんの妹だから。だから俺とミオは何にもないよ。尊敬する先輩の妹ってくらいだから」

なるべく平淡に言えば彼女たちはほっとしたような顔をして、俺たちの前から姿を消した。

ごめん、うそだ。
俺はミオをそんな風には見ていない。
俺は弁明すべくミオを振り返る。

「え、ミオ?」

俺は驚き言葉を失った。
泣いていたのだ。

「ミオ? 怖かった?」

「ううん、ちが、安心、して……」

うそだと思った。
ミオは安心して泣くようなこじゃないのは知っている。
確かに控えめで内気だけど、芯はしっかりしているのは俺がよく知っている。
なんでだ? 何で泣いてる?

「ねえ、ミオ。嘘つかないで」

「っ、嘘なんか、ついてないっ、私にかまわないでよ。私は。ただの"木兎妹"なんでしょ?」

ぷく、と頬を膨らませる彼女に俺は思わず吹き出してしまった。

「あ、赤葦くん、何で笑って……」

「いや、それはちょっと違うかなって」

俺はミオの顔の高さまで屈む。

「俺にとってミオはミオだよ。それ以上でも以下でもない」

「? どういう意味……」

わからない風なミオに少しだけじれったさを感じたけど、俺はミオの頭を撫でてそのまま教室を後にした。

だってねえ、俺にとってミオが木兎さんの妹である以前に、俺の大事な人であることに変わりはないんだって、俺自身もこのとき気づいたから。




151022


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