「良い天気だな」
「そうだな、晴れて良かった」



散々と照り注ぐ太陽に、心地よい風が程よく吹いている。

今日は海水浴には絶好の日だろう。

目の前に広がるマリンブルーの海に、白い砂浜が綺麗だ。



「ルーシィ達も来れば良かったのにな」



そう、呟くエルザにジェラールは肩を竦めた。



「しょうがないさ、みんな仕事なんだから。…それとも」



言って、エルザを見下ろしパッチリ目が合い首を傾げるエルザに



「俺と二人きりは嫌か?」



と、意地の悪い笑顔を浮かべ、耳元で囁いてみせた。
すると途端にビクッと反応した彼女は、自分の耳を抑え睨み付けてくる。

いちいち反応が可愛い…。



「やなわけないだろ…」
「ん?」
「な、なんでもないっ着替えてくる!」



ばっちり聞こえてましたよエルザさん、と海の家備え付けの更衣室へ向かう背中に呟いた。
彼女の場合、着替えは換装でいいんじゃないかと思うが、敢えて突っ込むまい。
逃げるための口実なのは目に見えている。



「…着替えないのか?」



不意に、恥ずかしそうに目線を微妙に反らして振りかえる。



「今行くよ」


そう言って微笑めば、彼女はジェラールが隣に来るまで待っている。
律儀というか、なんというか。

着替え終わったら海の家前で待ってる、という些細な約束をしてそれぞれ更衣室に入った。





――…‥





エルザは、この間ルーシィと共に買いに行った水着に身を包み更衣室を出た。
すると海の家の前で先に待っていたらしい彼が手を降るのが真っ先に目に入る。
エルザは小走りにジェラールの隣まで行って頭を下げた。



「すまん。待たせた」
「いや、大丈夫さ。女性はなにかと大変なんだし気にしなくていい」



そう優しく笑う彼に、心が温かくなる。
ふと、肩にパーカーをかけられ、エルザは小首を傾げた。



「肌、焼かないで欲しいから着てて」
「…うん」
「ありがとう。水着似合ってる、可愛いよ」
「あ、りがとう」



顔に熱が集まるのを感じながら、素直にパーカーを着た。
恥ずかしいが、嬉しい。

ふわり、と彼の匂いが微かに海の風に流され鼻孔を擽った。



「さ、行こう」
「荷物、どうする?」
「適当なところに置いてけばいいよ」
「そうだな」



差しのべられた手を自然に握返す。

荷物はシートを広げ、適当な場所に置いてさっそく海に向かった。

ちょろっと足をつけてみると、ひんやりとした水か気持ち良い。

膝が浸かる辺りまで来て、エルザはそうだ!と悪戯に頭を閃かせ



「ジェラール!!」



名を呼ぶと同時に思い切り水をかけた。
するとパシャッと音を立てて見事顔面に当たったので思わず大笑いである。



「あはは!!油断したなジェラール!!」



髪から水を滴らせ、まさに油断した、というような顔の彼。
しかし、さっと表情を変えゆっくりとエルザに近寄るが、笑っている彼女は気づかない。

とうとう目の前まで来た所で、エルザは目尻に溜まった涙を拭こうとし…ようやく気づいた。
…が、時すでに遅し。



「わっちょっ!!?」



突然の浮遊感に驚く暇もなく世界が反転し、ザッブーン!!と今までにないくらい派手な音がなった。

抱き上げられ飛ばされた、というよりかは投げられた、というのが正しいだろうか。

ぷはっと水面から顔を上げる。
すると、してやったりという満足気な顔があったのでもう一度海水をかけてやった。



「やられたらやり返す。因みに倍返しだからな」



再び髪から水を滴らせる彼は、濡れた髪を掻き上げて不適に笑みを浮かべた。
あぁ、なんか変なスイッチ入れちゃったかも、と思った時にはまた世界が反転していた。
















◇◇◇◇◇◇◇◇
大変遅くなりましたああああ!!
新年企画ラストです!!!
最早新年を祝う月ではなくなってしまいましたが、これで最後になります

エルザの水着とか、ジェラールがパーカーを貸した真相とかは皆様のご想像におまかせします(^q^)

リクエスト下さったら名無し様(名前が書いてなかったので)遅くなって申し訳ありませんでした
改めてリクエストありがとうございました


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