※ジェラール死んじゃいます
死ネタが苦手な方は観覧にご注意下さい










「これより、ジェラール・フェルナンデスの処刑を行う」



遠くで聞こえた評議院の声。

遠くに聞こえたのは、感覚はとうに麻痺してしまって、意識すらおぼろげだからだ。
牢に監禁されて、どれくらいだろうか。
綺麗な青空が目に染みる。



目の前には、一人の女性が立っている。
見間違えるはずのない、いつも焦がれては胸を温かくしてくれた人だ。

彼女のお陰で、今まで生きることができた。
命の恩人で、生きる意味を教えてくれた人で、大切な愛しい人。



「死刑執行人、エルザ・スカーレットは前へ」



剣を片手に、彼女、エルザはこちらへ歩いてくる。

膝をつき、後ろ手で手を拘束されたジェラールは静かに、近づいてくる彼女を見上げた。
あと一メートルというとこまで近寄った彼女の表情は見えない。
綺麗なスカーレットに染まった長い髪が隠してしまっているのだ。

ジェラールはただ静かに彼女を見上げるだけ。


あぁ、こんな近くで会えたのはいつぶりだろうか。
手を伸ばせば届きそうなのに、拘束されてしまってはそうもいかない。
顔を見たいのに、彼女は顔を上げてくれようとはしないし。
声をかけようにも、口の端からひゅうひゅうと風の音がなるだけで、まるで声の出し方を忘れてしまったのかのようだ。
何も出来ず、ただ見上げるしかできない。

近くにいるのに…



「ェ…ルザ………エル、ザ」



やっとのことで出た声は、記憶していた自分の声とは別人のようだった。
掠れ掠れで、まるで蚊の泣くような声だ。

それでも、彼女の視線をこちらに向けさせるには十分であったようだ。
ハッとしたように顔を上げ、今にも泣きそうな顔がジェラールの目には映る。



「やっと、顔が見れた」



声は掠れているけれど、思いを伝えるのに支障はない。




「ジェラァ…ール」



一粒の雫が、綺麗な頬を滑り落ちた。
それはそのままジェラールの頬へと落ちて、地面へと吸い込まれる。

地面から、上に目を向けるとエルザが目を真っ赤にしながら、必死になにかを耐えていた。
あぁ、そんな顔しないでよ。
ねぇ、笑顔がみたいよ。



「泣かないで、大丈夫だから」



すぐに会えるよ。

少しの間、離れてしまうだけだから。




「俺は、死なない。君の…エルザの心で生き続ける」




だから、



「俺を殺して」




  この命が終わるなら、

       君の手で終わらせて

大丈夫、すぐに会えるから。














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ジェラールが処刑されると聞いて、エルザが評議院に乗り込んで「殺すなら私が」的なこと言って、ジェラールも殺されるならエルザがいい
みたいな感じでこんな感じに(どんな感じだ

色んなジェラエル考えるのが好きです
ハッピーエンドであって欲しいですが、こういう展開もありかと…
ここまで読んでくださってありがとうございます
イメージ曲「GALLOWS BELL」初音ミク
からの
少年Tさんの歌ってみたです
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