“教会の宣伝に、ブライダル写真のパンフレットに載る人材を求める。(男女一人ずつ)”
ルーシィの見つけたクエストの内容である。
これを見つけたとき、まずエルザとジェラールの顔が浮かんだ訳だが…。
今考えれば、自分とロキでも良かったかな、なんて思ったり。
しかし、目の前で真っ白なウェディングドレスに身を包み、頬を赤く染めているエルザを見て、やっぱり自分達じゃなくて良かったとも思ったルーシィだった。






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ルーシィはなぜこんなクエストを受けたのだろうか。
いや、ルーシィだから受けたのだろうから、問題はそこじゃない。
なぜルーシィはわざわざこの仕事を自分達にやらせるのか、そこが問題である。
「受けたのはルーシィなんだからルーシィがやればいいだろう」
と言ってみても
「相手がいないし、エルザ達にやって欲しいからいいの」
とのことだ。
「相手ならロキを呼べばいいんじゃ」
と至極当然な返しをするが
「エルザとジェラールにやって欲しいのよ!!」
の一点張りである。

エルザは半ば諦めモードで無理矢理着せられたドレスを鏡越しに観察してみた。
肩口が大きく開き、所々に小ぶりながらも可愛らしい花が飾ってある純白のドレス。
後ろの裾を長く引きずる形はウェディングドレスならでわだろう。
シンプルだが決して地味ではないこのドレスのデザインは嫌いではない。
むしろ可愛いと思う。
だがそんなドレスを着ている自分の姿に戸惑うことも確かだ。
今まで鎧ばかりを見にまとっていた自分が、何の因果か今はドレスを着ている。
アップにしてセットした髪も、軽く化粧をした顔も、全てが今までの自分と違い過ぎている。
戸惑いと恥ずかしさからか、鏡の奥の自分の頬が赤くなっついるように見えて、よけいに恥ずかしくなった。



「セットの準備が出来たのでご案内いたします」
「はーい」



ノックと共にやってきたスタッフ。



「ほら行こうエルザ!」
「ル、ルーシィ…」



スタッフの後ろを、ルーシィに引っ張られるようにして追って歩いた。

恥ずかしい。

しかもこれからこの格好でジェラールに会うと思ったら余計に恥ずかしさが増した。

ルーシィに手を引かれながら、思わず目を瞑ってしまったその時。


「エルザ」



ルーシィとは違う大きな男の人の手の感触と、心地良い程の優しい声がして、エルザは自然と一度閉じた目を再び開いていた。


目の前にいたのは、優しく微笑むジェラールだった。
そして、エルザはそのジェラールの姿に無意識に見惚れてしまっていた。

エルザ同様の純白なスーツに身を包み、髪を少し弄った彼。

いつもと違う格好が衝撃的だった。
特に黒い服をよく身に纏う彼だが、白というのがまた良いギャップである。
白も似合うんだな、とほのぼの思ってしまった。



「エルザ、どうかしたのか?」
「…へ?」



至近距離でまじまじとジェラールを見つめていたエルザ。
声をかけられ漸く現実に引き戻されたらしい。



「な、なんでもない!」



間抜けな事をしてしまった、と余計にまた顔が熱くなる。
自然と視線は下を向いていた。

そんな彼女に、ジェラールはクスリと笑みを溢して重なっているエルザの手の上に更に自分の手を重ねた。



「?」



ジェラールの行動にどうしたのかとエルザは頭に疑問符を浮かべるような顔をした。
ふふ、と笑ってジェラールはエルザの耳にそっと囁いた。



「綺麗だよ、エルザ」


















◇◇◇◇◇◇◇◇◇
うちのジェラール氏は偽物すぎますね






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