目を覚ましたら、鼻先に彼の寝顔があってエルザは思わず悲鳴のようなものを上げた。



「ぎゃあああああああああ!!」



ババッと勢いよく状態を起こして隣で眠るジェラールを唖然として見下ろす。



「な、ななんで…」



意味がわからない…。
なんでジェラールが一緒に寝てるんだ…。



「朝から元気だなエルザ」



すると悲鳴のせいで起きたらしい彼が寝起きの掠れた声と同じく寝起き眼でエルザを見上げた。
エルザは何故かその、ふにゃっとした柔らかな笑みに一層胸が高鳴る。
頬に熱が集まるのがわかったが、今はそれどころではない。



「な、ななななんでいいい一緒に寝てるんだ!!?」
「なんでって…」



ズバッと指を眼前に指してきたエルザに困ったように頭を掻くジェラール。

すると彼はぽつりと一言。



「お前が俺を離さなかったんだろうが」
「……………………え?」



しばらくの間と呆けた顔の彼女に嘆息し、ジェラールは昨晩の出来事を簡単に説明した。



「昨日の夜泣きついてきたお前をなだめて寝かせたら、お前が俺の手を離さなかったんだよ」



その後どうやっても外れないもんだから仕方なく一緒に寝た。
故意はない。
不可抗力だ。



「そもそも昨日の記憶があるのか?エルザ」



その分だと所々記憶ないんじゃないのか。
なんて言うジェラールにエルザは


「ちょっと待て。頭の整理をするから…」



と眉間に皺を寄せて腕を組んだ。

彼女が記憶の整理をしている間ジェラールは静かに待っている。



「…………不覚だが…泣いたのは、覚えてる………」



顔を赤らめながら不本意そうに告白するエルザだが、対してジェラールはけろっとしていた。

冷静に



「その後は?」



と普通に普通な対応だ。

恥ずかしがっている自分がおかしいくらいに。

だから、せめてもの悔し紛れに目だけはそらさないように、と心に誓う。



「覚えてない…」
「まぁあれだけ酔ってたんだから覚えてなくても当たり前か」
「すまん…」



謝るエルザにいいよいいよと手を左右に振るジェラール。
そして、不意に微笑んだ。

エルザは微笑む理由がわからず首を傾げる。


「俺、不安だったんだよ。朝起きたら君がいないんじゃないかって」
「………うん」



朝目を覚ましたら彼がどこにもいない。
不安にならなかった訳じゃない。
でも



「寝ている間の温もりとか、気配とか、それのお陰で久しぶりに良く眠れたんだ」



牢獄の中で安心して寝れるわけない。
“久しぶりに”その言葉で改めて彼の辛さを痛感した。


今自分に優しく微笑んでくれるジェラール。



「私もだ。温かくて、良く眠れた」



笑顔でそう言ったらちょっと驚いた顔をしていたけど



「だよな。ハハッ」



直ぐに笑ってくれた彼。


お互いを確認したときの安心感。

それは互いに同じ瞬間に感じるらしいことに二人で笑った。














◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
後書き
今さらですけどこの連載甘甘になるかもしれないです
だだジェラールさんとエルザさんがイチャイチャしてるだけ、みたいなw
因みにジェラール→→←←エルザで、エルザ無自覚!ジェラール若干天然?をベースにスパイス少々な作品。
な ん で す が
いまいちそんな感じが出てない希ガス…orz

頑張りますo(`^´*)



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