「ギャリー…ねぇ…ギャリー。起きてよ…」
横たわった体を揺らすが、反応は返ってこない。
「目を開けて…」
どんなに名前を呼んでも、あの優しい微笑みはない。
ただ、冷たい感触が肌に張り付くだけだ。
永遠になった赤と青
戻ってくると、彼は横たわって苦しそうに呻いていた。
それは出会った時の様子を思い出させるが、しかし薔薇はの花弁既に全て引き千切られ、彼は体温が急激に下がっていたので、出会った時よりも辛い状態だった。
あの時は、人に出会えて嬉しかっし、人の温もりを感じて安心した。
でも、今の彼には…。
「ギャ、リー…」
溢れだす涙が堪えきれなくて、次から次へと降っては雨のように彼を濡らした。
まるで、ギャリーが泣いているようにも見えて、余計に涙が出てくる。
「死んじゃ、やだよ…。一緒に、マカロン食べるって…約束…したのに」
抱きしめても、懇願しても、怒っても、返事はなくて…。
ただ虚しいだけの行動になっていた。
それでも、イヴは彼に話しかけ続けた。
ずっと、ずっとそうして、ギャリーの返事を待っていた。
いつまで、そうしていただろうか。
時間の体感など当の昔に失せていて、今更時間などどうでも良かったが、いつの間にか彼の胸で眠っていたらしく目を冷ますとひどく寒かった。
ギャリーは未だに目を覚まさない。
鉛で打たれたかのように重い頭を起こし、定まらない焦点でギャリーを見つめる。
「……………」
前に見たときよりも穏やかな表情になっているギャリー。
苦しみから逃れられたのか、その表情に安堵した。
「…イ、ヴ」
「っ!?」
ふと、名前を呼ばれたような気がして、イヴは彼に近寄って耳を澄ませた。
すると「ごめんね」とひどく悲しそうに笑う彼がそこにいて…。
「ギ…ャリー」
「ごめんねイヴ。一緒に出られなくなっちゃって…。マカロン食べる約束してたのにね」
優しく、頭を撫でてくれるその手はちゃんと温かい。
頬を伝う涙まで温かく感じるほどに。
「イヴ、大好きよ」
「ギャリー、私も大好きだよ」
イヴは彼が眠りから覚めたことに嬉しくて、一心に抱きついた。
あぁ、ギャリーは死んでない。
死んでなかった。
「イヴ、ずっと一緒にいましょうね」
「うん!ずっとずっと一緒だよ」




「お母さんこれ綺麗」
「えぇ、本当ね」
小さい子供が親に手を引かれやってきた美術館には、赤と青の薔薇に包まれた男女が仲睦まじく描かれていた。

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イヴ心壊状態
一度は書きたいエンドっすね…
かなしす(´;ω;`)

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