歌い終えた空は微笑んでいるように見えた。



きっと気のせいじゃない。



ド素人の自分でも聴いていて微笑んでしまうようなものだったから。



空の天使の歌声だからこその歌。



空のためにあるとさえ思えた。



『これ…。空が作ったのか?』



そう聞くと空は少し悲しげな表情をしたように思えたが、多分気のせいだろう。



『曲は知り合いが作ってくれて…。私は詞を書いたの。…変だった?』



空は少し困ったような顔を浮かべる。



どうやら聞き方が悪かったらしい。



歌の感想は、本当に良かった。



むしろ良すぎたんだ。



『俺的にはここで歌うだけなのは勿体無いんじゃないかなって思ったよ。』



『...え?』



『俺一人でこんなにも良い歌聴いてしまってもいいのかなって思った。空のためにあるような歌だなって…。』



こんな遠回しの言い方で空は納得しないかもしれない。



もしかしたら勘違いしてしまうかも。



でもそれでも嘘のない自分の感想だから、少しでも自信を持ってほしくて、笑って言ってみせた。



『透くん、ありがとう…。』



見ると空は顔を両手で覆っている。



『ごめん…。気を悪くさせたかな?』



『ちっ、違うの!』



両手を下ろし胸のあたりで否定するように手を振ると、俺の隣へと腰を下ろし、空は先ほどのことを弁解するかのように喋り始めた。



『秀君以外の人にあんまり褒められたことなくって…。恥ずかしくなっちゃってつい…。』



そういうとまた両手で顔を覆う空。



きっとすごく照れているのだろう。



隠しきれていない部分が赤く染まっていて、なんだか自分までも嬉しくなってしまった。





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