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真っ白なワンピース、黒く綺麗なロングの髪、誰もがうらやむような整った顔立ち、表現力が乏しい自分だけど、まるで天使のようだと思った。
ただ1つ気になったことがある。
『…どうして泣いてるんだ?』
頭の中で考えていただけのつもりが、つい口に出して言ってしまった。
ーーーしまった!
すぐに我に返ったが、時すでに遅し。
幽霊女、もとい天使のような女は歌うことをやめ、こっちを見つめていた。
『あっ…、ごっ、ごめん…。』
すぐに謝罪はしたけれど、天使のような女は黙ったまま、ゆっくりとこちらに向かって歩きだした。
そして目の前で立ち止まる。