03


眠い目をこすりながら歩く通学路。あたしの前と後ろにはイチャつきながら登校するカップルの姿が...。なんだよ、朝からこんなもの見せつけられて気分悪いな。てかなんでよりにもよって独り身のあたしをサンドするの、嫌味かよ。朝からテンション下がるわ...。

「おはよう」

ん?このかなりの頻度で聞くイケボは?横に並んで来たのは柳くん!!!我が立海テニス部の三強と呼ばれし内の1人の人と歩くとか何だか鼻が高いわ、彼氏じゃないけど。

『おはよー!』
「...やけにご機嫌だな、いい事あったのか?」
『現在進行形で!まぁ気にしないで、一緒に学校まで行きましょー!』

柳くんが少し引いてるのは感じている。まぁそんなことは気にせず、後ろのカップルを見ると女の方が何だか悔しそうな顔をしている気がした。ざまぁみろと心の中で言ってやったよ。彼氏じゃないけど。

柳くんと他愛もない話をしているとあっという間に学校に着いた。ふーん、1人だと長く感じた登校も話し相手がいるだけでこんなに変わるんだ。3年間男の影が全くなかったあたしだけに、貴重な体験だったよ。

『柳くん、ありがとう。またあたしを見つけたら声掛けて』
「ああ、分かった。もちろんだ。お前、友達いないのか?」
『ちょっ、失礼ねー!友達くらいいるよ!でも方向が違うから行きも帰りも1人なの』
「カップルに囲まれていたが、お前、彼氏もいないのか?」
『いたらあんな寂しく登校してないよ!』

上履きに履き替えると、もう既に履き替えていた柳くんが待ってくれていた。やっぱり、柳くんって絶対モテる。こういう所にドキッとしちゃうんだよ、女の子って。小走りで柳くんの元に向かってる途中、肩を叩かれたから振り向くと悠の友達の赤也くん?って子だった。

「樹里サン、おはようございます」
『お、おはよう』
「赤也、おはよう」
「柳先輩!おはようございます...って、アレ?柳先輩って樹里サンと仲いいんスか?」
「同じクラスだし、席が俺の前だからな。よく話す仲だ」

そう思ってくれてたんだ、ありがとう柳くん、嬉しいよ。また同じクラスになれて良かった、優しいし。なんだかしんみりしちゃう。

「一緒に登校したんスか?」
「ああ、途中からだがな」
「あー!!柳先輩、なんなんスかそれー!!樹里サン!明日俺と一緒に登校してください!」

ん?今なんと?あたしが赤也くんと一緒に登校?どうしてそうなった...。

「天野、良かったじゃないか。寂しかったんだろ?」
『えっ、いや、でも慣れてるし今更かなぁ...』
「嫌なんですか...?」

そんな捨てられた子犬みたいな目で見てくるの、やめてくれ。第一どうしてそんなに絡んだことのない子から登校を申し込まれるのだろうか。あたしが悠の姉だから?でも、だったら悠と登校すればいい話だし、なぜわざわざあたしを誘うのだろうか。

『どうして?』
「一緒に登校するのに理由が必要ですか?」

だからその目やめてくれ。

『分かった!分かった!じゃあ、悠に伝えとくよ』
「悠は関係ないッスよ!俺は樹里サンだけを誘ってるんです!とりあえず明日の7時50分に駅前で!絶対いといてくださいよ!」

返事をする間もなく彼は走り去って行った。なんて強引なんだ。まだ彼と話したのは2回目だし、なんなら今の会話に入ったのか分からないくらいだし、てか年下だし!でもあんなに言われたら行かない訳にはいかないよね。

「お前...鈍感なんだな」
『何がよ!』
「いや、なんでもない」




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