大物木兎光太郎



放課後のグランドから聞こえる部活の声をBGMに宿題や明日の復習をして帰宅するのが私の日課だった
その日課の中で衝撃的な出会いをしてから、木兎光太郎(結構有名人だった彼)は事あるごとに教室に来ては私の前に現れた
今日は赤葦君に用事があると言いながらも、その赤葦君が居ない教室に居座るのは何故だ
そして木兎光太郎(更に何気に人気があるらしい彼)はクラス中の女子たちから熱い視線を浴びキャーキャーと言われているのを気にしてないのか、はたまた気が付いてないのか

『今日も超絶きゅーとだぜ』

と私に熱い視線を送りキャーキャー言っている
正直本当に出会った時から思ってたけど...めんどくさい人

「木兎光太郎さん」
『光太郎でいい』

何度目とも分からない会話を何度目とも分からないが繰り広げる

『変化球で光ちゃんでもいい』
「先輩」




[邪魔ですよ木兎さん]

赤葦君登場
でも木兎光太郎は目を瞑って耳を両手でぱたぱた覆いながら、何もきこえませーん見えませーんなんてとんだ野郎だぜ
だけど空気の読めるチャイムは授業開始の合図をして教室に先生を招き入れた

[赤葦なんで立ってるんだ]
[先輩が邪魔で座れないんです]

流石に先生の登場となればいち生徒である木兎光太郎も太刀打ちできない

『先生くるのはえーよ』
[早く教室にかえれ馬鹿たれが!]

はずなのにばいばーいと満面の笑みで去る姿は大物でしかない



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