影山



光をきらきらと反射した物は俺を惑わす
きらきらとしたものに惑わされるなんて俺は烏かって思ったけど、俺は烏野バレー部だ
あながち間違いではないのかもしれないと納得をしてると、目の前のきらきらとするピアスを付ける名前さんが、飛雄はまた馬鹿な事考えてるでしょって笑うから少しムッと口を尖らせた
そして目の前のメロンソーダに口をつけると、コーヒーを口にした名前さんの頭が揺れてまたピアスがきらきらと反射した
初めて彼女と出会った時はなかったそれは、年々増え今では耳に綺麗に並んでいる

「なに?飛雄もあけるの?」

俺が毎回のように彼女の耳を見つめてしまうからか、毎回言われる言葉
名前さんがつけている分には何も思わないが、むしろ綺麗だと思うけれど自分でつけたいとは思わない

「怖い?」

何も言わない俺はふふっと静かに笑われたのでストローから口を離すとカランと氷が鳴る
別に怖いわけじゃない
だけどあれが自分の耳についていることがイメージできないだけである
きらきらと光るピアスが自分に似合うだろうか
いや似合わないであろう
彼女の耳にあるから俺は見つめてしまっているだけで、そのもの自体に興味がある訳ではない
俺は席を立ち机を挟んで座っている名前さんの耳へと手を伸ばし触れた
生まれて初めて触れたピアスはただの無機質な金属
それなのにこんなにも目を離せないのは...彼女の傷を嫌という程知っているからだ


きらきら光る傷跡



△ | ▽

10 / 13




- ナノ -