ミカサ



調査兵団副兵士長リヴァイ班所属ナマエ・ミョウジは戦力さながら外見も文句のつけようがない位美しい女性であった
それなのに温和な性格で気取らず、上司にも部下にも分け隔てなく接する姿勢から彼女を慕い、憧れるものも少なくは無い
別名調査兵団のオアシスと呼ばれるのも納得できる
そんな彼女と偶然本部で遭遇した
今彼女の所属するリヴァイ班はエレンを連れて旧調査兵団本部で寝泊まりしているはず

「ミカサちゃんじゃない」

私に気が付いたナマエさんは手を振りにこやかに此方へ歩いて来るので軽く頭を下げると、エレンは元気よーっと言われた

[開口一番それですか]
「だって貴女が私に対して話があるならそれでしょ?」

確かに間違いではない
挨拶を終えたら聞こうと思っていた

「愛しの君が、必要な演出とは言えどぼっこぼこにした男と一緒じゃ心配でしょ」
[愛しなんて、そんな…]

ナマエさんの言葉に焦れば、うふふ可愛いわねと笑われる
こんな無邪気に笑う彼女が、あの人類最強と並ぶ戦力を持つとは誰が思うのだろうか





「ミカサちゃんは、リヴァイが憎い?」

彼女の笑顔に見とれていれば突然投げかけられた言葉をうまく理解できない
やっと理解した時にはナマエさんの顔からは笑みは消え、表情から感情は読み取れない

「エレンを必要な演出とは言えぼっこぼこにしたのは事実でしょ
私がもし貴女だったらリヴァイが憎いわ」

憎い?と再度聞かれたのではいとだけ答えた

「ミカサちゃんは正直者ね」

ナマエさんの手が私の髪に優しく触れ、そのまま頬を撫でる
何とも言えない空気に身動きすら取れずにいると、顎を掴まれ顔を固定されてしまう
そして妖しい顔をして言うのだ

「貴女にリヴァイをどうこう出来るとは到底思わないけれども、私にとってのリヴァイが貴女にとってのエレンなの…むしろそれ以上かも」

言いたいことは分かるでしょ?
私に貴女を殺すことなんて容易いのよと耳元で囁かれ、ごくりと生唾を飲んだらゆっくりと離れていく手
口に人差し指を当て今の話は内緒よ?っと笑うナマエさんはいつものナマエさんだった
今日私は…彼女の裏の顔を目撃した




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