リヴァイ



正直疲れてしまいましたと横に居る上司に呟けば、主語は無かったはずなのにあーそうだなと理解の意思を示してくれた上に

『エレンはそんなにしつこいか』

お前が弱音を吐くくらいにと、疲れたが何を指した言葉なのかを明確に当てる
すべて口に出して喋っていたんじゃないかと錯覚するくらいリヴァイ兵長は私の考えが分かるのだ
今だけじゃない
彼に出会ってからずっとずっと

「別に彼の気持ちを否定する訳じゃないんですよ」

人を好きだって思う感情ってとっても素晴らしい事だって思うし、それを直接本人に伝えるのって凄く勇気がいる事だって分かってる
だからってそれを受け入れるかそうじゃ無いかは私の勝手であって

「答えれないって言ってるのに諦めてくれなくて…」

諦める諦めないかも相手の勝手なんだろうけれども、会うたびに何度も何度も耳にタコができるんじゃないかって位唱えられる愛の言葉
それに正直うんざりしてきたのだ
はっきり言ってしまえば好きだとか愛してるだとか私には煩わしい感情でしかない
死と隣り合わせのこの世界で、そんなものを生み出してしまえば必然的にこの世への未練が出来てしまう
未練が出来てしまえば…死を恐れず敵に立ち向かえない
自分の100%の力を出せもせず、そして死していくなんて恥ずかしい事この上ないではないか

『それで最近俺のそばに居るのか』
「あ、ばれてました?」

エレンにとってリヴァイ兵長は恐れ多き存在である
私に構っている暇など無い位に彼の前では蛇に睨まれた蛙と言うのだろうか
とりあえず兵長のそばは絶対安全なのだ

『ばれてないと思ってたことに驚いたぞ』

前々から兵長のそばは居心地が良くって居る事が多かったので、この少しの変化はばれてはいないと思っていたのにやっぱり敵わない

「迷惑ですか?そうならやめます」

しょぼーんとあからさまに項を垂れるとはーっとため息

『居るのは構わないが椅子に座れ、きたねぇ』

兵長が指さしたのは彼が今現在使用している仕事机から少し離れた所にある椅子であった
因みに私は、そんな兵長の仕事机を背もたれにして床に直接座って彼の椅子の横に居る

「此処が好きです」

居心地のいい兵長の横でもあるし、窓からは暖かい陽射しが入ってくる
この言葉は椅子に座れと言われるたびに言っている言葉
兵長も諦め半分で言っているのだ
あーそうかよと報告書をまとめ始めたので、私は手の中の資料を静かに読む



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