リヴァイ



昨日は街に行ってきた
ふりふりの可愛いワンピースを見つけて、真っ赤な可愛いバレッタを買った
さっそく今日の訓練につけていけば、新しいのだなって兵長からのお言葉
嬉しくて舞い上がった
こうやって兵長と言葉を交わせるようになってから間もないというのも理由だが、人見知りな私から話しかけるという事は恐れ多くて出来ない
報告書を仕上げていると気が付けば夜も深い時間
息抜きにと外へ出るとぶるっと冷えた体
このまま部屋へと引き返した所で体は冷え続けるだけだ
暖かな飲み物でもと食堂へ向かうと明かりが灯っている
こんな時間に誰だろうと思いながらそっと足を踏み入れると

『こんな時までしなくていい』

兵長を前にすると体が勝手に敬礼をする
低い筈なのに通る心地の良い声
お言葉に甘えて敬礼を解くと途端にどうしたらいいか分からなくなってしまった
暖を取りに来たのだが、兵長に会った途端に寒さなんて考える暇も無くなった
緊張しすぎて自分がもたないのでここは早急に失礼しようと再度敬礼の後背を向ければ

『何しに来たんだ?』

兵長の質問に答えないわけにはいかない
報告書作成の際の息抜きに外へ出たは良いものの体が冷えてしまって、暖を取りにと簡潔に述べれば立ち上がる兵長

『報告書はもういいのか?』
「あとは今後の課題を記入し分隊長のサインを頂くのみです」

それは今度会った時でも構わないだろう
分隊長であるハンジさんは何やらここ数日忙しいようで自室に籠っている

『ならゆっくりしていけ』

兵長は食器棚からカップとソーサーを手にしてポットから紅茶を注いだ
そしてことんと机にそれらを置くとまたさっきまで座っていた場所に座る
カップの置かれた場所はそんな兵長の座る目の前

「失礼します」

恐れ多かったがせっかくの好意を蹴る訳にもいかない
そっと口を付けたカップには紅茶が入っている
口に入れた瞬間、鼻にかけるいい香りに思わず 美味しい と声を漏らせば、ふっと聞こえた息の音
兵長が…微かにだが笑っている
かーっと熱くなった顔が恥ずかしい
隠すように紅茶を煽るとごほごほと盛大にむせて余計恥ずかしい
自分は本当に何をしているんだと嫌悪を抱いた時

『髪飾り、似合ってた』

空耳かと思ってしまう位小さな声ではあったが耳に届いた言葉
空になったカップに再度注がれた紅茶の様に体が温かくなった



△ | ▽

13 / 13




- ナノ -