ベルトルト
『うわあああッ!!』
突然聞こえた聞きなれた声の聞きなれない大きな声に驚き、慌てて声のする方へと走って向かえば、逃げるベルトルトと逃げるベルトルトを追いかけるナマエの図があった
『ラ、ライナー!』
たすけてぇ!!と何とも情けない声で俺を見つけたベルトルトは、自分よりも小さい俺の背に隠れて
(隠れきれてないのだけれど)
ひんひんと泣くので、どうしたんだと聞こうとしたのだが
「ケツの一つや二つ差し出しなさいよ!」
あぁ、絶対にこれが原因だと確信したのでやめた
(ライナー邪魔!とがるるるってなんで俺、威嚇されてるんだか)
ベルトルトが怯える原因は分かったが、ナマエの行動の意図は分からない
[ベルトルトは嫌がってるだろ]
「私を挑発するようなケツを持っているベルトルトが悪い」
『挑発なんてしてないよ!』
さっきからケツケツって恥を知れよ
てか指を揉むように動かすんじゃない
[やめるn「ライナーにはこのベルトルトのケツの良さが分からないの!?」
取りあえず落ち着かせようとは試みたがどうやらだめらしい
男の俺に、男のベルトルトのケツの良さなんて分かる訳ないだろう
むしろ俺はケツより乳派だッというのは今は良いとして…
[許可なく触るってのは、セクハラという奴だぞ]
「許可を取ろうとしたら拒否されたので実力行使してるだけです」
しびれを切らしたナマエは俺の横をすり抜けてベルトルトめがけて突進した
だがベルトルトも反射的に突進を避ける
『らいなあああああ!!!』
そして何故だか俺を軸にぐるぐると追いかけっこを始めるではないか
やばい、鬱陶しい…
「へぶしッ!!!?
何すんだ馬鹿たれ!!!」
右足をすこーし前に出せば見事引っかかって転ぶナマエ
[馬鹿たれはお前だ]
ジャケットの襟を掴んで立たせると、丁度アニが通りかかった
[引き取ってくれ]
[なんであたしが]
不服そうではあったが女子部屋へとナマエを連行してくれるアニは優しい
「ベルトルトかむばっく!!!!」
だが大人しくナマエが連行されるわけも無く、暴れたのでアニにぐっと首を羽交い絞めにされながらも手を揉み揉みと動かし続ける姿を見ていると
[お前、選ぶ女間違えたな]
『僕もそう思う』
昔はおしとやかだったのに…と遠くを見つめるベルトルトが不憫に思った
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