アニ
ナマエは昔から良く笑う子だった
いつだってへらへらへらへら笑っては怒られてたんだ
別に笑うのが駄目なんじゃない
時と場合を選べばいいのにと、私は思うだけで教えはしなかったのだけれど
[アンタ、いい加減にしたら?]
流石にライナーもベルトルトも心配していた
教官に怒られようとも、どんなに訓練がきつくても、大丈夫大丈夫と笑うナマエを
「えー、大丈夫だって!」
ほら、また笑う
根拠も無い大丈夫は何度目だろうか
[私、アンタの笑ってない顔久しく見てない気がするよ]
真剣な真面目な顔って記憶にない
自分たちが戦士にならねばならないとなった時も笑ってた
「私は逆に、アニの笑った顔って久しく見てない気がするなぁ」
笑ってよ?って私の口角を無理やり上に押し上げるナマエ
その手を思いっきり叩けば、痛い痛いと騒ぎつつもやっぱり顔は笑っていた
『何してんだお前ら』
ナマエが騒ぐからライナーとベルトルトが近づいてきた
腰を上げてお尻についた汚れを軽くはたくと
「アニの笑顔は可愛いって話してたの」
ねぇ?ってそんな話してた記憶はない
ナマエの背中を思いっきり押せばバランスを崩した彼女はベルトルトへ見事ダイブする
何するの!?って騒ぐ笑った顔に背を向けて私は歩き始めた
良く笑う子だったナマエは、私が覚えている1番古い記憶の中でも笑っていた
その横に居た私の顔はやっぱり笑ってはいなくて
本当な気がついていた
笑わぬ自分の代わりにナマエが笑ってることなんて
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