貴方に愛の花束を



鳴り続ける携帯が私を不安にさせた
ディスプレイに浮かぶ 非通知 という文字が、尚更不安を膨らませてしまう

「もしもし…」

震えてしまったけれど、どうにか絞り出した声は思ったよりも小さくて、相手に無事届いたのかと悩ませた
でも耳に届いた物がそんな事をどうでも良くさせる

[峯が撃たれた]

足元で1度バウンドした携帯は脆くて、蓋が外れて本体とパックがバラバラに着地した
辿り着いた病院は、ここ最近通っていた病院とはいえ、どうやってここまで来たのか私には記憶がなかった
それ程までに私は動揺して現実を飲み込めていないのだ
VIPルームの扉を開けると、本来そこに寝ていたはずの人物は点滴はしているが椅子に座り、その代わりにこの部屋へ何度か一緒に来ていた人物がベッドに横たわっていた

[名前、峯が…]

撃たれた とさっき聞いた言葉がまた私の耳に届く
震える足でよろけながらもベッドに横たわる峯さんに近づくと、いくつものケーブルが体に繋がれていて、まるで昨日迄の兄のようだった
心が追いつかない今、痛々しい姿を直視するのは辛かったが、現実から目を背けるわけにはいかない
そして、峯さんの身に何があったのか兄から話を聞かなければならない



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