薄皮1枚の修正案



ソファーに横になりながらテレビを眺め、ビールを飲みうとうととしだす夜
騒がしい日々が嘘みたいに思えるほど静かだったのに、遠退く意識の中で耳に届くインターホン
それと一緒にドアを叩く音とドアノブをガチャガチャとする音も聞こえる

『誰やねん』

近所迷惑極まりない
眠い頭を無理やり覚醒させのそのそとインターホンに近づく
だが画面に映るのは真っ暗闇
カメラに映らぬように手か何かで隠している

『……』

このマンションはセキュリティがしっかりしている
マンション入り口は住民しか持たぬ鍵と暗証番号でしか開かない
だからこうやって扉のすぐ前までやって来ることなんかまず難しいのだ
それなのに今この部屋の扉の前に人がいるのは確かだ
通話ボタンを押して誰だとドスをきかせた声で言えば

「だーれだっ!!」

名前ちゃんでした!あははーと明るい声がした
その時心底寝たふりでもして居留守を決め込めば良かったと思った



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