三度の飯より君が好きかもしれない



陽の光が眩しく目を細める名前は背後から抱きつき、背中の黄龍にキスをする
黄龍を愛おしそうに見つめる名前は時折、自分が好きなのかはたまた黄龍に魅せられているのか分からなくさせる時がある
それ程までにこの背に執着している様に思えるのだ
自分の背中に嫉妬するなんて馬鹿げた話と思うくせに、名前を相手にするとそんな馬鹿げたことになってしまうから悩んでいた

この背に背負っているものはそんな簡単なものでは無い
多くの命を背負って居るのも確かなのだ
簡単に晒すものでも無い
簡単に触れていいものでも無い
それなのにどうしてそれを許してしまったのかは自分でも未だ理解出来ないでいる
惚れた者の負け で済ませていいものでは無いからだ
だけどその 惚れた者の負け というものでしかない事が情けないたらありゃしない

日が変わり、少しの間関西を留守にすると名前に告げると隠すことなく悲しそうな寂しそうな態度を取る彼女が堪らなく愛おしかった
一緒に行っては駄目なのかと言われて揺らぐ心をぐっと鬼にしてそれは駄目だと言うと、名前は更に悲しそうな寂しそうな態度を取った
そして涙を流されてしまうと抱きしめずにはいられなくて

『たった一晩や』

名前に言ったのか、それとも自分に言い聞かせたのかそれは誰にも分からなかった



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