君を失った悪夢



少しだけ肌寒い日なのに起きたらびっしょりと汗をかいていた

「死んじゃうかと思った」

心配する眼差しでこちらを見つめる名前
悪夢にうなされ、苦しそうにする俺を何度も起こそうとしてくれたらしい
それなのに全然目を覚まそうとしないから、そのまま死んでしまうのではないかという恐怖が、無事に起きた安堵と相まってピークに達してしまい、咽び泣き始めてしまう

『ごめん』

名前を抱き寄せる
壊してしまわぬようにと無意識に力を加減してまう位には、抱きしめる体は細くて脆い
落ち着かせるように背中をぽんぽんと撫ぜると、こんなに細くて脆い体の何処にこんな力強い力があるのかと思う程引っ付いてくるのが愛おしい
少しして落ち着きを取り戻した名前は顔を上げて、ちゅっと1回キスをした
そして 良かったぁ とハニカム顔に、今度は俺からちゅっと1回キスをした
2人でベッドに寝ころび肌を寄せ合う
静かな暗闇の中で互いだけが感じれるこの瞬間が俺は好きだった

「どんな夢見てたの?」

訪れていた睡魔で半分意識が遠のいていた頭で考える
どんな夢だったのだろう…

『忘れた』

思い出そうにも漠然と嫌な夢だったとしか言い表せなくて、思い出そうとした瞬間からまた息苦しくなるもんだから考えるのをやめた

『早く寝よう』
「うん、おやすみなさい」

明日の朝も早い
やらなければならないことが沢山ある
こうやって名前を抱きしめて寝る夜が出来るだけ長く続けば良いと思って

『おやすみ』


君を失った悪夢


(瞼にキスを落として目をつぶった)



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