気が付かない恋心



峯が 会長に紹介したい方が居るのですが と神妙な面持ちで言った日
ああ遂に峯にもそういった人が出来たのかと安堵したのを覚えている
お互いのスケジュールを調整して挑む食事会は、なんだか顔合わせみたいで少しだけドキドキした
すみません遅れてしまって と静かに入ってきた峯に 気にするな と言うと、峯の少し後ろに1人の女性が居ることに気がついた

「は、初めまして!」

視線が合うと緊張した面持ちでお辞儀をする女性
(さすが峯の…という感じで、お辞儀はきっちり45度だ)
(席に着くよう促すと峯さながらの無駄のない動きで席に収まる当たりもさすがというか)

「私、会長秘書をしております名字名前と申します」

渡された名刺を見ると白峯会のマークがきっちり印刷されたものだった

『会長、今後御用がある場合は片瀬ではなくこちらの名字に申し付けてください』

てっきり お付き合いしている方です と紹介されると思っていたので、秘書だとか業務連絡はとか言われてしまって正直面食らっている
なんだ早とちりかと残念に思う自分が居たのだが、運ばれてきた料理を甲斐甲斐しく名字に取り分け勧めたりする峯の姿に又面食らった

[お前達はそういった関係では無いんだよな?]

電話が鳴り席を外した峯が居ないタイミングで名字に聞くが、そんな恐れ多い と驚いて箸を手から落としそうになる名字を見て気がつく

「会長は素敵な方過ぎて私なんかが好いていいような人では」

峯が好きなんだなっと
確かに峯は仕事含め何でも出来るし、男の自分から見てもカッコイイとは思うがそんなに謙遜する様なものなのかと首を傾げる

[お前達はそういった関係では無いんだよな?]

食事を終え、今度はお手洗いにと名字が席を外したタイミングで峯に同じ質問をする

『違います』

はっきりとした口調の峯に、食事中の甲斐甲斐しい峯の姿を伝えるが、何故それがそういった関係に繋がるのか首を傾げるだけだ

『彼女は少しだけ抜けてる所があるんですよ』

仕事は完璧なのだが飲み物をひっくり返したり、食べ物をひっくり返したり、何も無いところで躓いてみたりと目を離せないのだという

[それはまぁ…大変だな]

あんなにしっかりしてそうなのにそうなのかと想像して思わず苦笑いをするが、そうなんですよ なんて言う峯の顔は


俺が居ないと駄目みたいなんで

お前達、絶対両思いじゃん




𝐓𝐡𝐚𝐧𝐤 𝐲𝐨𝐮.アンケート
両片思い



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