私はどこまでも峯さんと一緒に居たいと思うのだ
例え貴方の進む道がどれほど荒れ果て、辛い道だとしても
例え貴方の進む道の終着が恐ろしくて、震えてしまう場所だとしても何も怖くはない
だって失うものは初めから何も無いから
貴方さえ居てくれれば私は何もいらない
例えそれが自分の命だろうと峯さんが一緒に居てくれるなら要らないとさえ思えた

それなのに居なくなったのは何故?
私の居場所を奪ったのは誰?

[頼むからもう辞めてくれ]

私の手からフォークを奪った目の前の男は私の足を見ては悲痛な声を出す
私の足は傷だらけだった
だってこの足が無くなればずっと此処に居続けられる
この足が無くなれば峯さんと過ごした日々から離れなくて済む
峯さんとずっと一緒に居たいと思うから


闇を彷徨う陰
何が正しくて何が正しくないのか分からない

「あんたが死ねば良かったのに」
[名前…頼むから辞めてくれ]

悲痛な声で私の名を呼ぶ兄に放つ1言
私はそれしか発さない
堂島大吾さえ居なければ峯義孝が居なくなることは無かった
そうとしか思えぬ私はそうと放つしかないのだ






又朝が来た
又貴方と私を引きはがすように昇る太陽が私の場所を失くす
消えるぬくもりが私の場所を連れて行く

優しく回る腕の感触だって分からない
貴方の意地悪く笑う顔だってぼやけるし、心地のいい声だって薄れていく
何もかもこうやって失ってしまう
私が失ってしまったら貴方がこの世に生きていた証拠が消えてしまう

嫌だ、だけど浸蝕をを止める術がない
貴方との記憶が雑踏に消えてなくなる

















song for ... 天野月子「聲」



△ | ▽

9 / 19




- ナノ -