キミが した瞬間



ある日猫を拾った
大きな猫だ
なんでか知らんけどワシにだけなついた
暴れるあいつを止められるのはワシだけで、ワシが居らなろくに飯も食わん
何処かへ出かけるのも、寝るんもずっと一緒
でも流石に風呂は嫌がったなぁ
せやけどあいついきなりどっかに消えてワシの前から姿を消した
多分もうこの世には居らんのやろな
言うやないか…猫はオノレの死が見えるって
死が見えると飼い主の前から消えるって
でもそれって寂しいやないか
死ぬ奴も残される奴も



















『名前』

自分、死ぬときこないにも苦しくて寂しかったんか?
アホやホンマにお前は
ワシはお前が目の前で死んだかてどうってことない
だって最初から覚悟は出来てたんや
お前を拾った日からしてた

『ワシがなぁーんもしらんと思っとったんか?』

知ってたよ全部ひとつ残らず、お前の病気も全部ぶひとつ残らずな
道端で倒れるお前を見つけて病院へ運んだのはワシで
何食わぬ、なにも知らん顔でお前の前に現れのもワシだ

『なんや行く宛てがないんか?
ワシが拾ってやるよ』

捨て猫同然やったお前拾ったんもワシだ
ほんでそのワシも今死のうとしとる

『なぁーもしあの世で出会えたらまたお前を拾ってもええか?』

ワシは地獄行きやろうが
もし神はんのミスでお前に会えたんならば


キミが した瞬間



(又、ワシと一緒に生きてくれるか?)



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