キッド



命の炎が燃え尽きる時は、尽きる前にキッドの手で消されたい
そう空で儚く咲く花を見つめ呟けば、その花の光が歪む彼の顔を照らし出す

『お前は誰にも殺させねぇよ』

静かに放たれた言葉
肩に回された手がぐっと私を彼へと引き寄せる
違う違うの私が望むのは

「あの花の様に綺麗に散りたい」

真っ赤な花はキラキラと散る
皆の目に映され余韻を残し散っていく

『死にたいのか?』
「そうだと言ったらどうするの?」

私の命はカウントダウンを開始した
終わりの見えぬそれは中からじわじわと崩壊していく
訳も分からぬものにこの炎を消されるならいっそ今

『言っただろ、お前は誰にも殺させねぇ』

肩にあった手が私の頬に触れ顔を上へと向けさせる
そしてちゅっとキスを落として触れるか触れないかの距離へ離れた唇は

『それはこの俺様も含まれてんだ』
「キっ…」

有無も言わさず再度私の言葉ごと唇を塞いだ
いっそこのまま酸素を奪ってほしい
それだけ私は狂ってた
狂って狂って

『っ…』
「キッドも一緒に死んで」

彼の首へ手をかける
怖い、怖いの
死ぬのも怖いけど私が死んだあと貴方が誰かと共に笑うのが怖かった
貴方の隣は私だけのもの
貴方の優しさは私だけのもの
私以外のもののものになるのは嫌

『お前と死ぬのも悪くねェかもな』

そして貴方は

『…頼むからどこにも行くな』

自分の首を絞める私を抱きしめ笑いながら…涙を流した



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