キッド



今は何時だろうか
常に薄暗い窓の無い部屋では、時間の感覚を保つことが難しく、感覚が直ぐに無くなってしまった私に時を知る術が無い
体は疲れているのに眠る事が出来なかった
静かにベッドから降りたのは起こしてしまわぬように
それなのに背中に感じた衝撃で床に倒れ込む
突然の出来事で受身を取れずに顔から倒れてしまったのか、鼻から血が溢れる感覚がした

『汚ぇな』

舌打ちと共に聞こえた声
とっさに体を起こして鼻を抑えるが、ぽたぽたと溢れた血は床を汚す
私を蹴った張本人は苛立ちを隠すこと無くベッドから降り、目の前で止まると又私を蹴り倒した

『何処に行こうとしたんだ?』

頭を踏みつけられる痛みで上手く喋れない
このまま踏み潰されてしまうのではないかと恐怖が襲うが、抵抗は許されず

「寝れなくて…」

このままだとキッドさんを起こしてしまうんじゃないかと思ってベッドから降りたとどうにか伝えたはいいものの、彼はそれを良しとしなかった

『俺のせいにすんのか?』

そういうつもりでは無かった
違うと言いたかったのに、馬乗りになるキッドさんからの容赦ない拳は言葉を飲み込んだ

『何度言えばお前は理解出来るのか教えてくれよ』

指1本動かす事の出来ぬようになった私を憐れむような目で見下ろし、俺の前から居なくなるなと言っただろと私を抱き抱えベッドへ放り投げた
そしてキッドさんもベッドへ寝転び、動けぬ私をキツく抱きしめ眠りについた


貴方の為も俺のせい


キッドさんの前から居なくなる気は最初からないと言ったところで、貴方はそれも俺のせいだと信じないのでしょうね





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キッドにぼこぼこにされる



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