心が溢れかえってしかたない



ジリジリと容赦無く照らす太陽はもう夏だと言っていた
少し前に寒さが無くなり陽気な暖かい日が訪れたと思えばもうこれだ
近頃短くなった春がもうさよならと手を振っている

「お疲れ様でーす」

重たい体育館の扉をガラガラと開けるがそこにはお目当ての人物達が居なかった
今日の練習が休みだという連絡は来ていないはず
携帯を取りだし確認するが、やはりそのような連絡は届いていなかった
おかしいなと連絡先リストから 牧伸一 を呼び出し通話ボタンを押す

『お前、今何処にいるんだ?』

数コール目に繋がった第一声は私が言いたい言葉だった

「それは私の台詞ですよ
体育館に来たら誰もいないんですもん」

マネジが遅刻なんて笑えねーぞ!!って電話の奥からうるさい笑い声が聞こえるが、これは信長の声だ

『今日は体育館が使えないからグラウンドで走り込みだと昨日連絡があっただろ?』
「いいえ、知りません」

清田お前伝えなかったのか? えー俺ちゃんと言ったっすよ!なんてやり取りが繰り広げられるのを耳で聞き、そう言えばなんかそんなような事を信長が言ってた気もするなと頭の片隅で思い出した

『とりあえずグラウンドだから』

早く来いよって、ヤダなって思っちゃった
こんなお天気のいい日に限って外練なんてお肌がやけちゃう
携帯をポケットへ入れて重い足取りでグラウンドに行く前に更衣室へ立ち寄った
勿論、日焼け止めを大量に塗り込むためだ



△ |

1 / 2




- ナノ -