愛くるしい塊



始業式
ポカポカの陽気に襲う眠気と戦い勝利した
そして配布されたクラス表を眺めると、今年も無事に彰と同じクラスになれたことに感謝をしつつ、彰の手を取って明日から始まる高校2年生を楽しみに帰宅する
帰宅中は新入生が彰を見ては、あれがバスケ部の仙道さんかとか、でけぇなんて言っているが、改めて意識してみれば彰は名の知れた生徒であり、190cmと背が大きな分目立つ
そしてよくよく考えれば、そんな彼が私の横を歩く事は当たり前なんかでは無いのではなかろうか
女子人気も高く、私と付き合う前は毎日の様に告白もされていた気がする
(付き合っている現在でも定期的に告白されているのを知っているし、そもそも何故に彰は私と付き合ってくれているのだろう)
耳に届く、カッコイイなんていう黄色い声に感じた漠然とした不安から歩む足を止めてしまった
止まった私を彰は不思議そうに見つめていたが、あーそういう事かと理解したように、繋がる私の手をぎゅっぎゅと2回ほど握って

『おセンチ名前ちゃんおいで』

ふふっと笑い私を抱きしめた
定期的に顔を出すセンチメンタルが厄介だったが、彰はそれを喜んだ
なぜ喜ぶのかは理解は出来なかったけど、迷惑でないのが幸いだと思う事にして大人しく抱きしめられていると、ザワつく周囲

『これで新1年生にも俺は彼女持ちって広まったでしょ』

とりあえず少しは安心できそう? なんて私の頭に顔を置く彰はやっぱりなんだか嬉しそうで
だけど私のモヤモヤとした気持ちは無くならなくって

「なんで彰は私と付き合ってくれてるの?」

自分でも分かるくらい私は面倒くさい奴だ
それなのに定期的にしてしまうこの質問に彰は面倒がらず


愛くるしい塊


『好きだからに決まってんじゃん』

俺の事が大好きな名前が可愛くて大好きだからだよ



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