夢の中でいいことしよう



練習試合当日
散々口を酸っぱくして言ったのに、やはりというか...裏切ることもなく仙道は遅刻をした
いや、現在進行形で遅刻をしている

[仙道はまだかー!!!?]

田岡監督の苛立ちが手に取るように分かるのは、試合の点数にあまり差が無いという所から
圧勝しても可笑しくない相手との試合なのに、どうやら相手側も只負けに来ているわけではないらしい
前半戦が終わり10点差
30点は差をつけてやれなんて酷いことを言っていたのに現実はこれだ
それはそれは田岡監督の怒りは爆発するだろう

[名字!!!!]
「はいいいいいいっ!!!」

仙道にちゃんと言ったんだよな???
念には念をと言われていた私が仙道のせいで怒られている
くそあの野郎...
さっきから電話してるのに一向に出ないのはなんでだ
握りしめる携帯が壊れてしまう前に来てほしい処だが、無情にも後半戦が始める時間
試合開始と同時に鳴らし続けるコール音が切れることはなく、後半戦がもう終わるという頃、ガラガラガラっと空いた扉
扉の方を見ると、ひょこっと顔を出した仙道はあれー?と頬をかいていた
試合が終わり、相手高への挨拶が終わった瞬間、その間ぼーっと体育館の端っこに佇む仙道に越野の蹴りが1発と

「あんたちょっとかがみなさい」

私のヘッドロックが決まった
でも1番仙道へのダメージが大きかったのは、やはり田岡監督の全力の怒声で

[お前は何をしとったんだー!!!!!!]

仙道の耳もキーンとしたのだろうが、ヘッドロックしてた私の耳も一緒にキーンとやられた

[また釣りでもしとったんか!?]
『違います、もっと大切なことです』

試合より大切な事とは何だろう

『名前とスケベなことしてたんで』

遅刻しましたと真面目な顔でいう仙道
ぽかーんと開いた口が閉じない私
顔を真っ赤にしていつまた怒声を発するかわからない田岡監督


夢の中でいいことしよう


仙道の頭を思いっきり殴った越野

[もう怒るだけ監督が疲れるだけですよ]

と1言とともにもう1度仙道を殴り

[お前も付き合う相手もう少し考えた方がいいと思うぞ]

と硬直状態のままの私の耳元で言う
確かに...少し考えようと思った



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