マウントにてキスを1つ



夏が終わり、暑さが和らぎだした頃
朝見かけた顔が2限目にてすでに見当たらないことに気が付いた
黒板の横に貼られた時間割を見るとやはりと納得した
決まってあいつは大嫌いな数学の時間をさぼる
前期テストで涙を流して後悔していた事をもう既に忘れてしまったのか
2限目を終えるチャイムが鳴ったと同時に俺は教室を出て、向かうは屋上只一択
今日は特に天気が良く、風も涼やかで絶好の昼寝日和だ

『また泣いたって知らねぇからな』

案の定お目当ての人物はそこに居た
屋上の中心で大の字に寝転がる女は名前位だ

「どうせ授業出たって意味わかんなくて泣くんだもん」

出ても出なくても一緒なのと屁理屈を言い

「ここに居るって事は洋平こそ次の英語サボったじゃん」

ごろりと名前が仰向けから寝返りを打った瞬間に鳴った3限目開始のチャイム

『お前は英語もサボってんだろ』

つま先で軽く腕を小突けは、イターぃ!!!!と大げさに転げる名前
そんな名前のスカートを風がパタパタと揺らし、太ももが見え隠れした
をいをい中が見えたらどうするんだとカッターシャツを投げ掛ける
すると、え?何??みたいな顔をする名前に盛大な溜息を浴びせ

『俺が来るまでの間、誰も来てないよな?』
「来てないけど」

なんで?とニヤニヤ笑うこいつはたちが悪い

「洋平お母さんみたい!」

娘の貞操を心配する母親ってか?
ふざけんな


マウントにてキスを1つ


「俺はお前の彼氏だ馬鹿野郎
そんなの当の昔に奪ってやっただろう」

なんて俺の言葉に顔を赤くするなんてまだまだ子供だ



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