週末のティータイム
アイスティーにガムシロップとミルクを入れてかき混ぜたら氷がカランと音を出した
[名前の彼氏来ないの?]
「え、なに?」
久しぶりに遊ぼうよと声をかけてくれた中学の友達の質問に私は直ぐ答えれなかった
ちゃんと聞こえていた質問を聞こえていないふりをしたのはバツが悪かったから
彼氏である健司君には一応今日の事は話した
(中学の友達がWデートしようよと言っていた事を)
でも明らかに乗り気ではない顔を思い出すと来ないのだろうなと思う
「部活が忙しいみたい」
3年生だから受験もあるし などと誤魔化すけれど友達は納得していない様子
[それって彼氏って言えるの?]
週末にデートすらしてくれない人なんて付き合ってる意味ある?
横に座る自分の彼氏に ねぇーそうおもうよね? なんて身を預ける姿を見ると虚しくなってきた
そりゃ私だって週末にデート位したいと思うけれど、デートは1人で出来る訳では無い
相手の都合やらタイミングやら色々あるのだ
忙しい人ならその都合やらタイミングやら色々を合わせるのも簡単ではない
[良かったら俺の友達紹介するよ]
それがいいよ!そんな人と別れちゃいなよ と勝手なことを言って勝手に盛り上がる2人のとても大きなお節介をアイスティーを啜って笑い流した
そして1度トイレにでも行ってこの雰囲気を変えようと立ち上がろうとしたら肩に置かれた手
『お待たせ』
声の方へ振り向くと健司君が居た
私の隣に座ってオーダーを取りに来た店員さんにアイスコーヒーを頼み、友達とその彼氏に 部活が長引いちゃって ごめんね 等と挨拶をする
『所で、何の話を?』
そしてニコッと笑う
少し頬を赤らめる友達とその友達の様子に少し不機嫌になるその彼氏
[どうでもいい話しかしてなかったんで大丈夫です]
『あれ?そうなの??』
まだ変わらずの顔で笑う健司君に私は少し焦っていた
この顔は…怒っている時の顔
『俺が居たらお邪魔しちゃうような話だった気がするんだけど』
やはり聞いてしまっていたかと痛む頭を右手で支えた
明らかにギクリという顔をする2人に 俺の気のせいだね と席に届いたアイスコーヒーを飲んだ
[そうですよー、気のせいです!]
手にしていた携帯をさっとポケットへ隠すように入れる彼氏に友達は
[そういえば観たい映画あるって言ってたじゃん]
[あ?あーあれか!]
わざとらしくこの場から立ち去る流れに持っていき、また連絡するね と手を振って早々に帰って行った
をいをい、この人を不機嫌にして置いていくなんて最悪じゃないか
飲み干していたグラスの氷が溶けてカランと音を立てる
「今日は来てくてありがとう」
ご機嫌を少しでも良くしようと感謝の言葉を伝える
状況は最悪だが、部活終わりに来てくれたのは嬉しい事にかわりはない
『Wデートなんて誘う奴にろくな奴は居ないからな』
自分の彼氏でも自慢したかったんだろけど
そんな健司君の言葉に頷いてしまう
友達の彼氏は背も高くてイケメンだった
自慢したくなる気持ちも分からなくはない
でも張り合うつもりは無いが、健司君だって背は高いしイケメンだ
『連絡来たら無視しろ』
二度とこの2人と関わるなという意味を含め分かったという返事をすると
『お前も笑ってねぇでハッキリ断れ馬鹿』
額に思いっきりデコピンをお見舞され涙目になってしまう
痛む額をさすって素直に謝ると健司君は 分かればいいんだよ と今しがた自分がデコピンをして赤くなった額をさするようにいい子いい子してくれた
そして、
『あいつら絶対すぐ別れるぞ』
女の俺を見る目がヤバかった なんて意地悪く笑う健司君に思わず笑ってしまった
後日、友達から良い人紹介してよなんてメールが届いた
健司君の言っていた通りになったなとメール画面を閉じる
そしてガムシロップとミルクを入れたアイスティーを啜り本を開く
週末に私は静かな店内で読書に勤しむ
健司君はバスケに勤しんでいる
そんな2人の関係で私は満足している
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