顔面偏差値



振られた
彼氏に振られた
しかも、その振られ際の言葉が最悪すぎて最悪だ

[やっぱりお前の顔無理だわ]

タイプじゃないわって何だそれ
じゃーなんで告った時にOKしたんだよ
どうせ振るなら告った時で良かったじゃないか
悪態をつきたかったが、もう唖然となりすぎて何も言えずに今更モヤモヤが大爆発しそうになる

「私も健司みたいな美形に産まれたかった」
『はいはい、そーですか』

モヤモヤが大爆発しないように話を聞いてくれと駆け込んだのは、幼馴染の藤真健司
うわーんと泣き叫んでも慰めることも無く、こっちに視線さえ向けないこの男は薄情っちゃ薄情なのだが

『俺は言ったぞ、アイツはやめろって』

ティッシュを放り投げて渡してくれたりと、なんやかんや世話を焼いてくれるので健司の元へ来てしまうのが悔しい

「だって許せる顔面だったんだもん」

結局は私も顔基準での選択なので、顔の事で振られても何も言えない立場ではあるのだが

『なんだよ許せる顔面って』

上位イケメンの健司の顔を見慣れてしまっている私は、健司の顔が基準になってしまってるので目が肥えてしまっている
なかなか居ないイケメン枠を探し出して付き合ってもらうのは大変なのだ
(どうせ付き合うならイケメンと付き合いたい)

『てか俺と付き合えばよくね?』
「目から鱗なんだけど」

そうか!その手があったのか!
健司って頭良いなと思ってたし、実際頭が良いのも知ってる
でもそれって…頭の良くない私の勘違いかな?

「健司って私の事好きなの?」
『好きじゃなきゃお前みたいなめんどくさい奴、俺が相手するわけないだろ』

勘違いじゃないみたい
そうか、健司は私の事が好きだったのか
そんな事も知らずに私ったら恋の相談なんて…健司に辛い思いさせちゃった

「ごめんね?」
『今とてつもなくイラつく事考えて言ってんだろ』

お前はどうせすぐ振られるから最初から気にしてないなんて、すぐ振られるとか失礼過ぎやしませんか!?
事実すぐ振られるんですけどね!!

『付き合うのか付き合わないのがハッキリしろよ』
「付き合う!」

健司と付き合えるなんてそりゃもう願ったり叶ったりですよ
恋愛の好きていう感情はまだよく分かんないけど

『余所見したら速攻別れるからな』

ふっと笑い、目の前にまで来た大好きな顔を直視する事が出来ずに目をつぶった



(余所見をするもなにも)
(健司を超えるイケメンなんて見た事ないし)



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